ここのところ、注目されているニュースに米朝の過熱、過激化する威嚇の応酬があります。予測不能な無責任な指導者2人が何をしでかしてしまうかは本当に恐ろしく、日本はその隣国に位置するという危険な立場で、緊張感が高まります。
ここ何年かは、北朝鮮がミサイルを発射しても日本円や日本株が大きく影響を受けることが少なくなり、過去そういう事態の時に地政学リスクにより急落していたことを思うと少々違和感を感じていました。が、さすがに今回は地政学リスクが意識され相場が大きく反応しましたね。
また、久々に注目されているのが恐怖指数と言われる「VIX指数」です。最近投資を始めた投資初心者の方にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。
「VIX指数」というのは、ボラティリティ・インデックス(Volatility Index)の略称です。米国のシカゴオプション取引所がS&P500のオプション取引の値動きをもとに算出・公表しています。ボラティリティというのは、ご存知の通り、値動きの大きさ、荒さを言います。値動きが大きいときはボラティリティが大きいということ。つまり投資の世界において値動きが大きいということはリスクが高い状態のことですね。
オプション取引というのは、今現在の相場ではなく、将来の値動きを予測してその売買権利を取引するものです。オプションの値動きが大きくなるということは、将来相場が荒れることを投資家の多数が予測しているということになります。
したがって、VIX指数は投資家心理を表すものとされ、その数値が大きくなることはリスク意識が高まることにつながるため、「恐怖指数」と呼ばれているのです。
S&P500の過去の推移チャートと重ねるとほぼ反比例した動き、つまり恐怖指数が急上昇すると株価指数は急落する、という動きを見せています。
日経平均についても、同様の手法で「日経平均VI(日経平均ボラティリティ・インデックス」を2010年11月から算出していますし、ユーロ・ストックス50指数オプションに対する「VSTOXX」等各国で算出されるようになっています。
投資家心理そのものはボーダーレスになるため、いずれの恐怖指数も比較的連動した動きをしています。恐怖指数を投資の参考にする投資家も増えています。
実は恐怖指数関連に投資することも可能です。ETFが東京証券取引所にも上場しています。ですが、ボラティリティ・インデックスそのものに直接連動しているのではなく、ボラティリティを対象とする先物に投資するタイプで、かつ米ドルベースのものを円換算しているため、そのETFの値動きとVIX指数そのものの値動きは一致しているわけではありません。過去のチャートを見るとかなり値動きは異なります。興味のある方は注意した上で、投資の検討をしてください。
世の中に不安が高まってきているような今、こうした指数の存在を知っておくことは投資をしていく上で役立ちます。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員