みなさん、こんにちは。日経平均株価は1月央から底堅い展開が続いています。ただし、1日の値動き幅はかなり小さなものとなっており、全体としては閑散とした相場状況にあると言えるでしょう。当面は新たな材料も見当たらず、株式市場はまだ動意づく、きっかけに欠ける状況が続くのではと予想しています。
ただし、為替には注意が必要です。金融緩和政策の継続観測台頭から再び円安が進行し始めました。2022年前半にあったような急激な変動に至れば、株式市場への影響も無視できないものになりかねないと予想します。
企業のチャットボット利活用、そのメリットとデメリットとは
さて、今回は「チャットボット」をテーマに採り上げてみましょう。チャットボットとは文章で会話をするロボットのことで、多くはその自動会話プログラムのことを指します。現在はかなりのB2C企業が消費者からの質問対応としてチャットボットを導入しており、皆さんも色々な企業のWebサイトにおいて、この自動会話を試されたことがあるのではないかと想像します。
このようなテクノロジーの活用は、消費者のニーズや要望に沿った回答が人員を割くことなく提供できるようになるため、企業は顧客満足度の向上と人件費の抑制という2つのメリットを期待することになります。
しかし、実際にチャットボットを使ってみると、どうもピントが外れていたり、欲しい回答には辿り着けないというケースが少なくありません。
チャットボットは、予め設定された選択肢に沿って回答されるものと、AIによる機械学習によって回答されるものがありますが、前者は多様な消費者ニーズに柔軟に対応することが難しく、後者はより詳細なニーズを把握はできるものの、それへの対応には膨大なデータを学習させなければならないということがネックになっているのです。チャットボットは大きな成果が期待されるテクノロジーではあるものの、まだまだ発展途上というのが実態と言えるでしょう。
脚光浴びるChatGPT、生成AIによる次なる検索機能の拡大に期待
そんな折、2022年秋に画期的なチャットボットが米国で発表されました。米Open AI社によるChatGPTというプログラムです。
このプログラムのすごいところは、従来の特定企業のサービスや製品に関する領域に留まることなく、ほぼ全ての分野・領域に対応可能ということです。インターネット上に存在する膨大なデータを一気にクローリング(情報収集)して、回答を提示する仕組みです。
AIの作成する回答も流暢な会話文となっており、これまで機械作成の回答ではまず見られなかった「こなれた文章」となっていることも特徴的です。あらゆる領域に対応でき、わかりやすい文章で回答を得るということから、これまでのような顧客対応といった使い方よりも、むしろ検索エンジンに近い使われ方が今後は模索されるのではないかと、私は想像しています。
検索エンジンは関連サイトのリストアップにとどまり、利用者が知りたい情報は自身でそのサイトにアクセスして確認する必要がありました。ChatGPTではネット空間から必要な情報を抜き出して検索者に直接回答するため、わざわざサイトを訪れる必要がなく、直ちに知りたい情報を入手できます。
実際、この発表を受けてアルファベット(GOOGL)やマイクロソフト(MSFT)といった検索大手のIT企業も競って、類似サービスの提供を開始しました。これらは生成AIとも言われるのですが、いよいよチャットボットが検索に応用される時代となってきた、ということなのかもしれません。
投資観点でも注目されるチャットボット、本質を見極めた臨機応変な対応が重要
株式投資という観点でも、これらは息の長いテーマになると期待感が高まります。生成AIを擁したチャットボットの利活用領域は、明らかにこれまでの「常識」を超え始めており、それは結果として、我々のインターネットの使い方を大きく変える可能性があります。
新しいモノ好きの私も早速このサービスを試してみたのですが、提示された回答にはまだ改善余地があると感じたものの、あらましの把握には既にかなり有効であると感じました。データ学習が進めば、より正確性が増すのではないかと思います。
日本では、ChatGPTのような生成AI型チャットボット関連企業はまだ少ないのですが、利活用領域の広がりは派生ビジネスをおそらく拡大させることでしょう。おそらくは予想外の新たなビジネスが創出されるのではと期待します。
株式投資的には、まずそういった漠然とした期待が既存のAIや半導体、 チャットボット関連銘柄に集まるのではないかと考えます。既にチャットボット関連とされる銘柄の中には、こじつけ的な理由付けをしている例も少なくありませんが、現時点で具体像が見えない中、「それっぽい」企業はとりあえず注目しておきたい、ということなのでしょう。
ただし、これは常識を変えるような新しいテクノロジーが出現した際に、必ず繰り返されるパターンであることも忘れてはいけません。インターネットがそうでしたし、最近ではブロックチェーンもそうでした。
関連(しそうな)企業群は一旦軒並み物色対象となり、バブル的様相を呈するまでに至ったものの、その後は大きく調整となり、やがてはビジネスモデルがしっかりした企業の評価が確立する流れへと変わっていきました。チャットボットも利活用領域の具体像が見えてくるに従い、期待と現実のギャップが露わになるのではと想像します。
このような「何か凄いけど、具体的な展開イメージのつかない」テクノロジーへの投資戦略は、息の長いテーマではありますが、この一連の流れを見据えて臨機応変に対応していくことが重要だと私は考えています。
あるいは、「金鉱を掘り当てるよりもスコップを売る」的な発想で、半導体材料や半導体製造装置に注目するのも一手でしょう。この領域は世界をリードするポジションにある日本企業が数多く存在します。彼らもまた利活用領域拡大メリットの受益者であるはずですから。