毎週月曜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問に広木隆が回答いたします。回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。

Q.陸運株が下がる背景に考えられること

まっちゃん様からのご質問

最近、黒字決算を提示したJR東海など陸運株が下がっていますが、この傾向の背景にはどのようなことが考えられるでしょうか。

回答

2月13日の「広木隆のMonday Night Live」でこの質問をいただきましたが、その場ではその背景について思い当たらず、うまく回答できませんでした。改めてこの場でお答え致します。

背景のひとつは、2022年後半に大きく上昇した分の反動でしょう。2022年は行動制限の解除や旅行支援を背景に旅客が急回復しました。JR東海(9022)では、2022年4~12月期の輸送実績は前年同期比56%増の368億6200万人キロとなりました。株価はこれを同時進行で織り込み、2022年秋に大きく上昇したので、それを反映した決算が発表された今は「材料出尽くし」で反動安になっていることが考えられます。

しかし、このマーケットの反応は間違っている可能性があります。旅客数の改善は「材料出尽くし」にはなりません。2023年も旅客の回復基調は続くとみてよいいでしょう。新型コロナの感染症法上の分類が大型連休明けの5月8日、「5類」に移行します。屋内のマスク着用は3月13日から原則不要となります。それからインバウンドの質問のところで回答しましたが、それも追い風です。陸運株は再度、持ち直す材料が豊富と見ています。

Q.コロナ影響でインバウンドは再び注目されるでしょうか

泣き砂様からのご質問

外国人は観光で魅力的な国として日本を第1位に挙げています。コロナが慢性的になっている以上、再びインバウンド関連が注目されるのは時期尚早なのかそれとももはや注目されること自体ないのでしょうか?

回答

いえ、そんなことはありません。インバウンドの回復軌道は明確です。1月の訪日客数は150万人に迫りました。コロナ前の2019年1月比で半分以上回復したことになります。株の格言では「半値戻しは全値戻し」。訪日客を株価と同じに捉えてよいかわかりませんが(笑)。中国本土以外からの訪日客に限れば76%にまで回復しました。このまま順調にいけば年2000万人台が視野に入ってきます。大いに期待できる分野です。

Q.エーザイの株価について

yoshi様からのご質問

エーザイの承認のニュースにもかかわらず株価は逆に下がるのはどのような意味があるのでしょうか?

回答

「織り込み済み」「材料出尽くし」と言ってしまえば簡単ですが、実際はそんな単純な話ではないでしょう。まず足元のエーザイ(4523)の業績は芳しくありません。2022年4~12月期の営業利益は前年同期比81%減、純利益は35%減です。レカネマブという社会的インパクトのある薬は長期的には大きな価値があるとわかっても、それを短期志向の市場は評価できないでいるということです。

また、エーザイは製薬の大手企業であり、ニッチな専門薬の会社ではありません。その同社がアルツハイマー薬開発に傾倒し過ぎる点もリスクが高いと見なされる理由になっています。ファーマ(製薬会社)という業態は新薬を開発できれば儲けは大きい一方、開発までの時間や費用が莫大です。だからこそメガファーマはある程度、分散させたプロダクト・ミックスを持つのですが、同社はポートフォリオに占めるアルツハイマーのウエイトが高すぎると市場から見られているのかもしれません。

Q.脱炭素の今後の行方とEV化について

新興国のモータリゼーション関して様からのご質問

欧米を始めとして自動車のEVシフトが進められていますが、そもそも電気を作る・溜める事にコストがかかる事も分かってきました。脱炭素の行方は今後変わって来るでしょうか?また、現時点でEV化は正しい道といえるでしょうか?

回答

脱炭素の行方は今後変わって来るでしょうか?

⇒ この世に不変のものはありません。脱炭素でさえ、もしかしたら将来、その流れが変わるかもしれませんが、現時点ではそのような兆しはありません。脱炭素に抗おうという動きは一部にあるものの、まだマイノリティです。世の中の大勢は脱炭素で動いていると考えて、投資という観点でも、それについていくしかないですね。ただし、なかには相当、先食いして割高になっているものもありますので見極めが大事です。

また、現時点でEV化は正しい道といえるでしょうか?

⇒ これについても同じことが言えます。世の中の大勢はEVです。しかし、テクノロジーの進化の方向ではどうなるか、完全に決まってはいないでしょう。例えば水素自動車などはその選択肢のひとつです。

Q.エイピアの見通しについて

株小僧様からのご質問

広木さんが勧めていたエイピアの株価が上がっています。今後の株価をどう考えているか教えてください。

回答

Appier(4180)は23年12月期の営業利益が前期比10倍になる見通しが好感されました。同社は人工知能(AI)によるマーケティング支援を手掛けていますが、最近ChatGPTが話題になっていることも同社の株価の追い風になっているのかもしれません。

Q.東証のPBR改善指導は相場への影響は?

シュナのアシュリー様からのご質問

東証のPBR改善指導は相場への影響は?

回答

相場に明確な影響が出てきます。足元でバリュー株物色が強まりバリュー株指数が算出来高値を更新するほど上昇しているのも、PBR改善期待の反映でしょう。また、PBRが低い銘柄が多いスタンダード市場指数の推移を見ると年初からほぼ一本調子の上昇で高値追いが続いています。これは非常に大きなトレンドになってきており、今後の日本株上昇の重要な「カタリスト」です。

Q.シチズンの自社株買いについて

AtomHM様からのご質問

シチズンの自社株買いについてどう思いますか。PBR1倍を目指す会社が続出するでしょうか?

回答

シュナのアシュリーさんへの回答でも書きましたが、PBR改善は大きなトレンドであり非常に着目すべき点です。シチズン(7762)の前例のない比率での自社株買いとそれに対する市場の反応はまさに象徴的な動きです。今後も低PBR改善は日本株復活の大きなチャンスになるでしょう。

Q.ダイフクは今後期待できるでしょうか

cat様からのご質問

3年ほど前に好調だったダイフクに復調の兆しが見られますが如何でしょうか?

回答

ダイフク(6383)が9日に発表した2022年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比21%増の287億円となりました。売上高は18%増の4356億円、受注高は36%増の5998億円となり、それぞれ4~12月期として過去最高でした。2023年3月期も豊富な受注残が収益の支えになり、好調が期待されます。個人を含む投資家層の拡大に向け、4月1日付で1株につき3株に分割することも人気化の背景でしょう。今期2023年3月期の業績見通しは売上高が前期比15%増の5900億円と従来予想から100億円引き上げた一方、純利益は11%増の400億円に据え置いていますので、本決算は利益上振れで着地する可能性が高く、一段高を期待してよいのではと思います。ただし、予想PERが20倍を超えており、好業績のかなりの部分は株価に織り込み済みである点は注意が必要です。

 


このコーナーでは、毎週月曜夜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問にチーフ・ストラテジストの広木隆が回答いたします。

今回は2023年1月23日のセミナーで寄せられたご質問から抜粋して回答しています。

回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。

 

【広木隆のMonday Night Liveについて】

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