金融資産の運用には、大きくインデックス運用とアクティブ運用があります。銘柄を選択して、市場平均より高いリターンを目指すのがアクティブ運用です。

インデックス運用が広がるにつれ、批判も強まっている

最近は低コストのインデックス運用に資金が集まるようになってきています。

例えば、2022年の国内の公募追加型株式投信の資金流入額のトップ5のうち4本が、インデックス型になっています。

中でも、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、7000億円を超える資金が流入し、残高でも2023年日本最大のファンドになりそうです。

このように、個人投資家の間でもインデックス運用のシェアが高まるにつれて、インデックス運用の問題点や限界についてコメントする専門家が増えています。

これは市場での存在感が大きくなり、注目が高まってきたことの裏返しとも言えます。 

世界経済の成長鈍化はインデックス運用にとって逆風に

そもそも、インデックス運用は市場全体の経済成長による価値の上昇に連動して資産を増やしていこうという運用方法です。

経済成長が鈍化して市場の時価総額の拡大ペースが落ちれば、インデックス運用のパフォーマンスも低下することになります。 日本を含む多くの先進国や中国は人口減少が進み、経済成長の足かせになるかもしれません。

インデックス運用では、グローバル経済の成長鈍化によって、今後期待したほどのリターンが得られないという問題が指摘されています。 

インデックス運用には割高な銘柄も含まれる

また、インデックス運用は原則として、資産の時価総額に比例して組み入していくことになります。

株式であれば、株価が上がれば組み入れ比率が大きくなっていきます。 もし、仕手株のような企業価値の本質的な向上ではなく、特殊な要因によって株価が実態と乖離されて不自然に上がった場合でも、比率を高めざるを得ないのです。

仕手株ではありませんが、数年前に米国の電気自動車メーカーのテスラ社の株式時価総額が他の自動車メーカーを合わせた時価総額よりも大きくなったことがありました。

もし、このような状態がマーケットの過熱によるもので割高だと思っても、比率を下げることはできません。恣意的に比率を変更すればインデックス運用にはならなくなってしまうからです。

さらに、2022年のロシアのウクライナ侵攻のような地政学リスクによって、投資対象がインデックスから除外されるようなリスクもあります。事前に不穏な動きがあったとしても、インデックスから外れるまでは、組み入れせざるを得ないのです。

アクティブ運用にも問題点が多い

インデックス運用に対する、上記のような問題点の指摘はもっともです。

だからといって、インデックス運用を超える運用方法はあるかと言われれば、それを探し出すことも非常に困難です。

インデックス運用を批判する専門家には、アクティブ運用の仕事をしている人もいます。アクティブ運用でインデックス運用を超えるのは簡単ではありません。

インデックス運用が完璧な運用手法ではないのと同様、アクティブ運用にも様々な問題が存在するのです。

相対的なインデックス運用の優位性は変わらない

現実を見ると長期的にインデックス運用を上回ることができるアクティブファンドは全体の半分以下です。

また、インデックスファンドに比べ信託報酬などのコストが高く、その分リターンは低下します。

さらにアクティブファンドの場合、運用成績が良くなると人気が出て、資金流入が増え、その結果、ファンドのサイズが大きくなり過ぎて運用成績が悪化するパターンが多いのです。

長期でインデックス運用を超える成果を出せるアクティブファンドを事前に見つけることは、極めて難しいのが現実です。

そして、もし運用成果が良くても、資金流入が殺到すれば、それまでの運用手法が使えなくなってしまうと言うジレンマがあるということです。

インデックス運用がベストな方法とは言えません。しかし、それに代わる運用方法としてインデックスファンドを超えるものは簡単には見つかりません。

結局、現時点の金融資産の運用ではインデックス運用が最良の運用方法。これが私の変わらない考えです。