先週の米国株式市場はS&P500、ナスダックともに上昇
先週、S&P500は2.47%上昇しました。ナスダック100は4.71%の上げで、4週連続上昇と上げのモメンタムを継続しています。これまでのところ1月に入ってナスダック100は11.2%上昇していますが、これは1999年1月以来で最も上がった1月となりそうです。年初来、米国以外の市場が米国市場をアウトパフォームしてきましたが、先週は米国が他市場を上回って上昇しています。
今週のマーケットも2022年に大きく下落したハイパーグロース銘柄が引き続き買われるという、先週の流れが続いています。投資家が利上げサイクルの終了を期待していることが、グロース系のテクノロジー銘柄の上昇に貢献しています。加えて、これらの銘柄にはかなりのショートポジションが溜まっていたことも大きなリバウンドの要因と考えられます。
第4四半期の決算発表は事前予想を上回る
米国企業の第2四半期の決算発表が続いています。これまでのところS&P500採用銘柄のうち143社が発表を終え、70%の企業が事前予想を上回り、 27%が下回る展開になっています。
先週1月24日(火)には、世界3位の時価総額を誇るマイクロソフト(MSFT)がPC需要の弱さを受け、事前予想を下回る決算発表を行いました。この発表が翌日(1月25日)のマーケット全体にネガティブな影響を与えるかと思われました。しかし、翌日一時的に下落した同社株は、最終的に1週間では上昇して終わっています。一方、好決算を発表したテスラ(TSLA)は5日間連騰、ナスダック指標を牽引しました。
1月27日(金)寄り前に発表された個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比で5.0%上昇、伸び率の鈍化は3ヶ月連続で、1年3ヶ月ぶりの低水準となりました。インフレの減速が確認されたことで、来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)では利上げ幅が縮小されるとの期待もマーケットの上昇に貢献しました。
今週は今回の決算発表のハイライトであるGAFAMのうち、既に発表されたマイクロソフト以外の発表が予定されています。 2月1日にはメタ・プラットフォームズ(META)、2月2日にはアップル(AAPL), アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドットコム(AMZN)が決算発表を予定しています。
2023年のS&P500を占う3つの注目ポイント
2023年に入ってからの投資家のセンチメントの変化には目を見張るものがあります。その結果、2023年に入って注目すべきアノマリーが起きそうです。2023年はベアマーケットの翌年ですが、その翌年のS&P500を占うにあたって市場が注目する3つのポイントがあります。
1つ目は、ベアマーケットの年にサンタクロースラリーが起きたか(12月最後の5営業日+1月最初の2営業日がプラスになったか)、2つ目は1月の最初の5日間のリターンがプラスになったか、そして3つ目の条件は1月がプラスになったかです。今回については、既に2つの条件をクリアしており、最後の3つ目についても、今週1月30日(月)、31日(火)の2日間で6.02%以上下落しない限りこれらの条件をクリアすることになります。
この3連勝が起きると、投資家にとって2023年の米国株は非常に良い展開となるでしょう。1949年からこれまでの70年以上の米国株の歴史の中で、この3連勝が起きたのは14回で、2023年で15回目になりそうです。
では、この3連勝が起きたらどうなるのでしょうか。これまでの14回については、その後の11ヶ月間S&P500はすべてプラスで終わっており、平均16.8%の上昇で、1年間では22.1%の上昇となっています。
マーケットの行方をアノマリーだけで語ることはできないものの、このデータは投資家にとっては勇気を与えられるものではないかと思います。
今週のマーケットの注目:GAFA企業の決算発表、FOMC
今週の決算発表のフォーカスはGAFA企業の決算発表ですが、今週はFOMCも開催されます。2月1日(米国時間)のFOMCの声明では引き続き利上げの発表が予想されています。マーケットのコンセンサスでは、今回の利上げは25ベーシスポイント(bp)です。
投資家にとってバイブルとも言われている『株式投資』(日経BP)の本で有名なペンシルベニア大学ウォートン校のジェレミー・シーゲル教授によると、「利上げ幅が25bpであれば良いのだが、そうでなければマーケットには良くない」とコメントをしています。また、教授は、 FOMCの声明が、利上げの最終局面であるとのコメントを期待したいとしています。
もし、今週もマーケットが上昇し、S&P500が4,100を超える場合はテクニカル的に良い展開です。現在の米国株は、長期的なブルマーケットの中の、シクリカル(周期的)なベアマーケットの真只中です。テクニカル分析で2022年の1月から始まったシクリカルなベアマーケットが終了したと判断するには、S&P500が現在の4,016から上値抵抗線である3,938(40週移動平均線)と4,100(2022年12月16日の高値)のレベルを超えて、それを維持できることが条件となります。
一方で、200週移動平均線である3,691辺りと、2022年10月の安値の3,491が下値抵抗線であり、このレベルを下回らないことが重要です。また、S&P500が4,100を超え、それを維持できると、マーケットが下がる確率がかなり低くなるでしょう。