具体的な政策(有効な代替案等)がないまま、大衆を扇動するような言葉の数々はやはり今後への不安を新たにし、日本にも及ぶ影響が心配されます。自身の支持率の低さ、不支持率の高さ、就任式への参加者の人数等、報道される自身に不利益な数字は全てねつ造だと言い切る、相変わらずとはいえ唖然とします。トランプ大統領は米国第一主義を掲げていますが、米国の経済、政策すべてが世界に大きく影響を与えてきたのが現実で、他人事ではありません。双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)を拡大させた「レーガノミクスの失敗」の再来も予感させます。そうなれば、それらは相手国のせいだと言いそうですし・・・。
個人的には、どうも楽観的には捉えにくい新大統領の誕生です。
トランプ大統領といえば、大金持ちとしても有名ですが、彼ほどの大富豪は別としても「お金持ちになりたい」というのは多くの方の夢でしょう。
先日、興味深い記事をネット上で見かけました。お金持ち(成功者)を目指すとき、「逆説的ではあるが・・・」と断りながらですが、「高級住宅地に住み、高い家賃を払い、お金持ちと同じような消費をする」「その背伸びが頑張りを生み、自身を高めていく」・・・というもの。
「役職が人を育てる」という言葉があります。まだ力不足と思われる若手が重要な地位に就いた後に、本人の努力でその役相応の力をつけてくるような状況を言います。ですが、ことお金に関しては、FPとしては同意しかねるというのが本音です。
背伸び消費がどれほど家計負担につながるか、住宅費等の固定支出の増大がどれだけ貯蓄の妨げになるかということをこれまでも機会あるごとに書いてきました。お金持ちのふるまいや感性、メンタルをまねることは否定しませんし、環境が人を変えていくこともあるでしょう。でも余剰資金の異なる状況での消費のまねは破綻につながりかねません。
そもそも、人によって目標とする「お金持ち」は異なるはずです。個人の夢や目標を実現するのに経済的に困らないレベルの「お金持ち」=幸福というのが、FPが求める各個人の目標です。米国の大富豪のようにプライベートジェットで世界各地の自宅を渡り歩きたい、といった夢であれば別ですが、誰もが大富豪になりたいわけではありませんよね。
地に足のついた目標設定と、実現に向けたプランニング、そしていきあたりばったりではなく、きちんと勉強しながらの堅実な投資、面白みに欠けるかもしれませんが、こうした積み重ねこそ確実な資産形成につながっていくと思います。
1月も下旬に入りましたが、今年の目標はもう立てたでしょうか。まだの方は「将来の目標」をそのプランと共に考えてみてはいかがでしょう。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員