今週の最大の関心事は、なんといっても米国の大統領選挙ですよね。
テレビ討論会後は、クリントン勝利と決め込んだブックメーカー(欧米の賭け屋)もあったようですが、先週から混沌として、まさかのトランプ氏も・・・となってきています。ブリグジット(英国のEU離脱)選挙も直前までは「まさか...」と言われていただけに、わかりませんよね。

それに対しての市場はとても分かりやすい反応を見せてきました。トランプ氏が大統領になることの大きなリスク(トランプ・リスク)を世界中の市場参加者は認識しているのに、なぜアメリカ国民は・・・と思ってしまいますが、多くの人にとって経済や外交より、自分の生活。変化を一番に求めているので、仕方ないのかもしれません。トランプ氏が大統領になって、彼らの生活が向上するとは思えませんが・・・。クリントン氏も相当の嫌われ方をしていて、難しいですね。

さて、先週まで2週にわたって外貨投資について簡単に触れてきましたが、こうした海外の政治問題は、前述の通り外貨投資にかかわらず各種市場に大きく影響を与えます。ソブリンリスク(国家)、地政学的リスク(地域、エリア)等状況によって異なりますが、ボーダーレス化が進んだ今、こうしたリスクについて、投資家としては今後より一層注意していく必要があります。
米国大統領選挙の話をしてきたのに地政学的リスクを取り上げたのは、日本のお隣、韓国でも朴大統領の不正絡みで政治混迷が進んでいることにあります。それだけであれば韓国という国におけるソブリン、もしくはカントリーリスクに見えますが、北朝鮮が核開発を進めている今、韓国と米国が国内政治で混沌としてしまうと、東アジアの平和維持が不安定になり、それだけ日本のリスクも高まります。

通常期であれば、こうした東アジアの地政学的リスクに対して、市場は必要以上ともいえる反応をし、ドル/円では円売りの要因です。ですが、リスクの力関係とでも言いますか、トランプ・リスクによるドル売り、というより米国売りにより、円は安全資産としての意味合いの方が重視されがちです。
相場変動は様々な要因が複雑に絡み合って起こります。市場参加者は何が一番重要と見て、それがどの程度のものか等を注意深く見ることです。単純に一つの要因だけを見ていては、相場の動きが理解できないことも出てしまいます。
外貨投資の場合、そうした点が大きな比重を占めますし、政治のみならず、貿易関係等が経済にどの程度の影響を与えるか等も重要です。

経済の先端にあるような相場も、政治問題その他から大きく影響を受けていますので、広く情報を集めることで、少しずつ関係性をつかめるようになってきます。難しいようですが、投資は常に勉強、と思ってつきあってみてくださいね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員