米国株、1月効果・インフレ収束への期待感から上昇

1月に入り、米国株は堅調に推移しています。先週の米国株は2022年11月来久しぶりにベストの1週間となりました。ナスダック100は6日連続で上昇、先週1週間では4.54%の上げとなり、S&P500は2.67%の上げとなりました。年初からS&P500は4.16%、ナスダック100は5.55%の上げとなっています。

2022年12月後半にはタックスロス・セリング(含み損が出ている株式を売って実際に損を出し、所得税などの税金の支払いを少なくする動き)が終了し、その後クリスマス・ラリーが期待されていました。しかし、そうならなかったのは、2022年は下げ幅が大きかったことから年末ギリギリまでタックスロス・セリングが行われたためだと思います。損失を確定させるための投資家の売りの大半が終了し、売り圧力がなくなった銘柄については、2023年に入ってから買いが入ったかたちになっています。このような現象は、「1月効果」と呼ばれています。

新年に入り、インフレが収束しそうだという期待感が強まったこともマーケットの上昇につながりました。1月12日(木)に発表された12月の米CPI(消費者物価指数)では、3ヶ月連続でインフレが鈍化したことが確認されました。発表されたCPIの項目の59%がデフレ的であるという内容で、インフレは市場が予想しているより早いペースで低下していると解釈されました。

また、2022年末に発表されたアトランタ連銀公表の賃金上昇トラッカーも、前年比5.5%と2022年1月来の低いレベルであり、こちらはようやくピークアウトの傾向を示し始めています。株式市場は、インフレに絡む経済指標を好意的に解釈し始めたようです。

2022年から続くベアマーケットが終了したと判断するには

現在の米国株は、長期的なブルマーケットの中の、シクリカル(周期的)なベアマーケットの真只中です。テクニカル分析で2022年の1月から始まったシクリカルなベアマーケットが終了したと判断するには、S&P500が上値抵抗線である3,950(40週移動平均線)と4,100(2022年12月の高値)のレベルを超えて維持できるかが条件となります。その一方で、200週移動平均線である3,680辺りと、2022年10月の安値の3,491が下値抵抗線であり、このレベルを下回らないことが重要です。

米国企業、第4四半期決算発表シーズン開始

先週から2022年第4四半期の決算発表が始まりました。S&P500採用銘柄の発表は今週から本格化し、1月末の週にピークをつけ、3月の頭までにほとんどの企業の決算発表が終わる予定です。

現時点でのS&P500採用銘柄の業績予想は、前年比2.69%の減益となっています。これまで増益が続いてきた中、今回S&P500全体の業績が今期減益となることは織り込み済みであり、マーケットのフォーカスは事前予想を上回るか・下回るのかです。

例年、決算発表シーズンは大手銀行の決算発表から始まります。ジェイピー・モルガン・チェース(JPM)とバンク・オブ・アメリカ(BAC)の決算は事前予想を上回ったものの、顧客の貯蓄引き出しやクレジットカードの債務増加、返済が困難なケースが増えていると指摘したことを受け、株価は決算発表当日の朝方、下落しました。しかし、その後、経営陣によるアナリスト向けの電話会議で、貸し出しが増えることで大きな利益を得ることができると説明したことを受け、株価は上昇に転じて1日を終えました。

今週はS&P500採用銘柄のうちゴールドマン・サックス(GS)、ユナイテッド・エアライン(UAL)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、ネットフリックス(NFLX)など26社が決算発表を行う予定です。

なお、1月16日(月)は、祝日(マーティン・ルーサー・キング・デー)のため、米国市場は休場となります。