先週、日経新聞にも掲載されていた確定拠出年金(DC)をご存知でしょうか?2001年にスタートしたDCは「日本版401K」とも呼ばれる自己責任型の年金制度です。これまでの確定給付型の企業年金を変更する企業も増えました。サラリーマンの方は企業年金が変更になった経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

また個人型DCとして、企業年金のない会社員や自営業者などが加入できるタイプもあります。将来の受け取る公的老齢年金の上乗せ年金としての魅力、メリットもありますが、公務員や専業主婦はこれまでは制度の対象外でした。

来年2017年1月から個人型DCの制度変更があります。これまで対象外であった公務員や専業主婦、確定給付タイプの企業年金制度や厚生年金基金がある会社員も含め加入できるようになり、加入対象者は飛躍的に増えます。
そこで上述したメリットです。
民間の個人年金に加入するのと比べて、もっとも大きいメリットは税制優遇と言えるでしょう。

1.掛け金が全額所得控除・・・年末調整などでお馴染みの個人年金等生命保険控除では年間支払保険料総額が年間2万円以下の場合のみ全額が所得税の控除対象になりますが(住民税では年間1万2,000円以下)、それを超えると部分のみしか控除対象になりません。

2.運用益は非課税で再投資・・・金融商品の運用益にかかる税金が非課税のまま再投資されるため、運用益分、福利効果が大きくなります。

3.将来受け取る時に税金優遇措置・・・一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が受けられます。

長期運用をする場合、途中で税金がかからないというのは非常に大きいメリットです。この制度、もちろん注意すべきデメリットもあります。

1.中途引出しに制限・・・原則60歳までは引き出せません。月額掛金額の変更も原則年に1回。

2.手数料・・・口座管理手数料等の運営管理費がかかります。取り扱い金融機関によって異なります。

3.運用商品の品ぞろえ・・・取り扱い金融機関によって異なるため、自身が運用したい商品があるかを確認する必要があります。

4.運用は自己責任・・・当然のことながら、投資信託等リスク性商品で運用すれば元本の保証はありません。自分で選んで投資をしなければなりません。
どんな年代の方にも長期資産運用は勧めていますが、これは老後資金のみを目的にしているものです。途中で現金化できないことを十分理解した上で、無理なく行う必要があります。60歳近くなれば全体のリスクを減らす等コントロールが必要ですが、それは通常の資産運用でも同様ですね。
公的老齢年金に不安を感じている方は分散投資の一つと考えてみてはいかがでしょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員