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研究者、また経営者としても活躍するMinさん。27歳からわずか6年で金融資産1億5000万を達成した背景には、どのような学び、実践方法があったのでしょうか。Minさんがモットーとしていることやリスク管理に対する考えなども含め、資産形成のノウハウを教えてもらいました。

投資へのモチベーションをコントロールする秘訣

――研究者、経営者として日々多忙なライフスタイルを送る中、投資を続けるためのヒントとなった書籍や格言などがあれば教えてください。

『金持ち父さん貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)は、私が投資を始める際に背中を押してもらった本です。『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール著)や『敗者のゲーム』(チャールズ・エリス著)は、インデックスファンドで積み立て、長期投資にシフトするきっかけの1つになりました。

投資格言など先人の教えからも影響を受けています。例えば、「落ちるナイフには手を出さない」は、投資を始めたばかりのときに、自分が実際に落ちるナイフを握りしめて苦い思いをした経験もあるので、肝に銘じています。この格言を参考に、自分の想定が外れたときには、早々にロスカットしています。

また、「卵を1つのカゴに盛るな」も同様です。集中投資をして痛い経験をしたことがあるので、それ以来分散投資を心がけています。かといって分散しすぎてしまうと、どれかが大きく伸びても資産全体としてはあまり増えないので、個別株は5~10銘柄に絞るようにしていました。なお、現状は個別株は株主優待銘柄と自社株以外は、売却しています。

また、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏の「ゆっくり金持ちになりたい人はいない」という言葉も、投資をする人が忘れてはならない名言だと思います。人間は、長期の利益よりも目先の利益を優先する傾向がありますが、「早くお金持ちになりたい」という欲が投機に走らせ、それが失敗につながります。私自身も欲をかいて、投資をしているつもりが投機をしていたという経験から、「ゆっくりでいいから複利を利かせ、負けない投資をする」ことを忘れないようにしています。

――投資に関する情報収集はどのようにしていますか?

TwitterやCNBC、日本経済新聞(紙、電子版)、会社四季報(電子版)を中心に情報をチェックしています。

このうちTwitterは、速報性に優れているものの、情報の信頼性には問題があります。発信者の感情や意図によってバイアスがかけられていることもあるので、そのまま鵜呑みにせず、1次情報を当たるようにしています。

CNBCは投資に特化したメディアで、無料で読める記事も多く、情報も早いという利点があります。記事自体は英語で書かれていますが、翻訳ツールのDeepL(個人的に翻訳精度が高いと思う)を使えば簡単に翻訳できます。日本経済新聞は、勤務先に置いてあるので平日は職場で読んでいます。証券会社のウェブサイトには、無料で日経新聞や会社四季報を読むことができるところもあるので、それも利用しています。

会社四季報は、企業概要をサクッと把握するのに適していると思います。要点を押さえて書いてあるので、「この企業は良さそうだ」と思ったら、企業のホームページに移動して、IRページなどでさらに詳細な情報確認するという使い方をしています。

また、いつもではありませんが、株式投資だけでなく、不動産投資や暗号資産へ投資している人達と会話する中で、情報が自然と入ってくることもあります。こういった観点では、個人投資家の方のコミュニティに入るのも良いかもしれません。

年間1000万円の積立投資を実現するコツ

――投資初心者が投資資金を貯める工夫について教えてください。

生活費の半年分~1年分の生活防衛費を確保した上で、自分のリスク許容度に適したアセットアロケーションを組み、余剰金を投資に回すことが大切だと思います。

我が家の場合は、不動産投資で空き家が出た場合(空室リスク)と複業で従業員を抱えていることもあり、3年分の生活防衛費を確保しています。また、余剰資金を投資に回すのではなく、先取り投資をし、残ったお金で生活するようにしています。

資産全体に占めるリスク資産の割合は、「100-年齢」が目安とされているようなので、20代なら80%ですが、60代なら40%が上限と考えるのが妥当かと考えています。ただし、リスク許容度は人によって異なります。最悪の場合には半分になっても許容できる金額でやる、株価の変動が気になって仕事が手につかない金額ではやらない、といった視点もポイントになるかもしれません。

積立投資をするのであれば、運用で得た利益(値上がり益、分配金)が非課税になる「つみたてNISA」を活用するのが良いと思います。金融機関によっては最低100円など少額から始められる上、運用商品は金融庁が厳選したファンドから選ぶことができます。

「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、運用益が非課税になることに加え、掛金が全額所得控除の対象になり、引き出す際にも税制優遇があるなど税制面でのメリットは大きいものの、原則として現時点では60歳まで引き出すことができません。とはいえ、長期間使う予定のない余裕資金があるなら、活用するのも選択肢なのではないでしょうか。

――Minさんは、節約や節税にも力を入れているようですが、何をどのように工夫して実践していますか?

消費の面でいうと何かを購入するときには、なるべく安く入手できるよう、購入前により安い店がないかを調べ節約するようにしています。「手間がかかる」と思う人もいるかもしれませんが、この一手間で支出を減らすことができ、投資に回せるお金を増やせます。

また、妻と家計簿アプリを共有して、収入と支出、資産の見える化を実践しています。現状把握をしていなかったら、改善や対策の取りようもありません。

「ふるさと納税」も活用しています。過度な返礼品合戦で還元率に規制が入り、概ね3割以下になってしまったとはいえ、探せばまだお得と判断できるものが存在しています。ふるさと納税は、配送される時期が重なると、冷蔵庫や冷凍庫に返礼品が入りきらない場合もあるので、配送時期も考慮して、利用するようにしています。

税務的な面は、税理士に任せていますが、不動産投資(売却時は課税対象だが、建物と付属設備の減価償却分を控除できる)、確定拠出年金、保険料控除など使える控除は積極的に使うようにしています。配当控除や外国税控除もできる人は、しっかり活用したほうが良いと思います。

――資産運用をする上でルール化していることはありますか?

「負けない投資」が最も重要だと思っています。それと、市場から退場せず、居続けることが大切だと考えています。

――昨今のインフレや地政学リスクを鑑みて何かリスク対策は行っていますか?

地政学リスクについては、積立額の半分(年間約500万円)を、全世界の株式に分散投資するインデックスファンドの購入(積み立て)に充てることで、リスクを軽減しています。

また、現在は相場が不安定なため、株式や暗号資産を現金化しています。とはいえ、インフレで現金の価値が目減りするリスクもあるので、時期をみて投資に回していきたいとも思っています。ある程度攻めること(リスクのある資産に投資すること)が、インフレ対策になると考えています。

――お子さんが誕生されたとのことですが、お子さんへのお金の教育で大事にしたいことは何ですか?

お小遣いを渡して、それをどう使うかを自分で考えさせたいですね。できれば、早い段階で、お金を使い過ぎたり、要らないものを買ってしまうなど、使い方について失敗することで、お金の使い方の重要性を体験して欲しいと思っています。将来的には、無駄なものを買わず、余剰金を投資に回して増やす習慣を身につけてくれたらと思います。

―――最後に、これから投資を始めようと考えている20代、30代の方へアドバイスをお願いします。

自分に適した投資法は、価値観や環境などによって異なると思います。失敗を恐れずにチャレンジして、自分に合った投資法を探して欲しいと思います。

特に20代30代は、現役で働く期間が長い人が多く、資産もまだまだ積み上がる序盤の年代です。多少失敗しても、取り返す時間は十分にあります。

また、投資する時間が長くなるほど、複利効果の恩恵も享受できます。投資をする上で、20代、30代は非常に有利な年代と言えるでしょう。

まずは、NISAや確定拠出年金などの税制優遇制度を活用して投資をするところから検討してください。ポイントは、生活防衛費を確保した上で、あくまで余剰資金で少額から行うことだと思います。

そして、投資資金を捻出するために過度な節約をしないこともポイントでしょう。今しかできないことを我慢する必要はありません。投資、そして生活やプライベートを楽しむためのバランスが重要だと思います。

――どうもありがとうございました。

※本インタビューは2022年11月28日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。