最近「子どもの貧困」を取り上げた特集やニュースをいくつか続けて見かけました。
過去には「一億総中流社会」といった言葉が流行ったこともあり、豊かな先進国のイメージもある日本ですが、けっこうな格差社会であることは世界的にも指摘されており、そのしわ寄せは子どもたちにきています。
以下「子どもの貧困対策の推進に関する法律について」(平成25年法律第64号) (平成26年1月17日施行)の添付資料「現状・背景」より引用
■ 子供の貧困率
16.3%(2012年厚労省)(2010年OECD加盟34カ国中25位)(OECD(2014) 日本は2009年(15.7%))
■ 子供がいる現役世帯のうち大人が一人の貧困率
54.6%(2012年厚労省)(2010年OECD加盟34カ国中33位)(OECD(2014) 日本は2009年(50.8%))
■ 生活保護世帯の子供の高等学校等進学率
90.8%(全体 98.6%)(2013年厚労省/文科省)
■ 世代を超えた「貧困の連鎖」
子どもの貧困率というのは「相対的貧困世帯に属する子どもの割合」であり、日本では2012年には子ども6人に一人という状況になっているとのこと。
高齢者の一人世帯増加による貧困化はかなり注目されてきましたが、子育て世帯の非正規雇用者割合の増加・低所得化、そしてひとり親家庭の増加で若年世帯の貧困化が深刻になってきています。
これらの事実が高齢者のそれ以上に深刻なのは、貧困により子どもが教育を受ける機会の喪失が高まること。その結果が上記高等学校等進学率にも表れています。学歴別の年間収入には依然差があり、かつ高等教育を受けていない場合非正規社員となる確率も高く、世代を超えた貧困スパイラルにつながりやすくなります。
お金があることだけが幸せではないでしょう。事実、日本の幸福度と収入の関係を調べたデータ(大阪大学21世紀COEによる調査)によれば、幸福度と収入の比例関係は年収700万円あたりで頭打ちになるとか。お金があればあるだけ幸せ、というわけではないということですね。
また、子どもを大学に通わせている世帯の年収は700~800万円というデータもあります(東大に限ると半数以上が950万円以上になるとのこと)。
子どもに高等教育を受けさせ、幸福度を感じられる年収の目安というのが浮き上がってきますよね。もちろん学歴=幸福ではありませんし、もし貧困状態にある場合には高すぎる目標に感じるかもしれません。
ライフプランニングには具体的なマネープランが必要です。そうした目標を可視化することで、もし収入が届かないのであれば時間をかけて相応の貯蓄準備をするなど、早めに取り掛かれます。
貧困のスパイラルを断ち切るためにも、貧困状況になくとも自身にとって幸福度を感じる水準に達するためにも早めに計画的に取り組みたいものですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員