みなさん、こんにちは。早いもので2022年も残り10日程度となってしまいました。2022年の株式相場を振り返ると、日経平均は大発会ザラ場の高値を結局抜けることなく、概ね26,000~28.500円の狭いボックス圏での推移に終始する、やや物足りない相場であったと受け止めています。来たる2023年は、そのような停滞の1年を経て、大飛躍となってほしいところです。

「跳ねる」卯年、過去のパフォーマンスを振り返る

さて今回は2022年最後のコラムとなるため、2023年を見据えて、うさぎ年の相場格言を取り上げましょう。

卯年の相場格言は「跳ねる」です。うさぎのイメージそのままですが、大きな跳躍があると解されています。実際、第二次大戦以降、過去6回の卯年相場を見てみると、日経平均ベースで4勝2敗と比較的良い戦績を残しています。

圧巻は、この4勝した年のパフォーマンスです。1951年はなんと62%もの上昇となり、バブル崩壊後の「失われた20年」のど真ん中であった1999年でも32%の上昇を演じました。1975年、1987年においても13〜15%の上昇となっており、まさに「跳ねる」という格言通りの推移となっています。

逆に2敗したのは、1963年と2011年で前者は金利平衡税導入に伴うケネディショックが、後者は東日本大震災や欧州金融危機、超円高などが、それぞれ影響したものでした。大きな経済状況の変化が「跳ねる」という経験則を超えて生じたということなのでしょう。

相場格言とは景気循環を示唆するもの

2021年末に2022年の寅年相場格言に言及したコラムでも触れましたが、私は元々このような干支の相場格言をあまり重視していませんでした。率直に告白すれば、「昭和の古い年代の人達の発想」であり、「なんでもそれっぽく語る証券業界の悪しき慣習」という受け止め方をしていたのです。

しかし、これは経験的な景気循環の示唆と受け止めることで、なかなか深い相場格言だと思うようになりました。テクノロジーの進化や社会意識の変化から経済はその時々で大きく変化しているように見えますが、少し俯瞰してみると、バブルや金融危機の発生など、似たような事象が一定の間隔で繰り返し発生しているものです。

干支格言が成立すると考えると、12年周期で循環しているということなのかもしれません。何故12年周期なのかはわかりませんが、実体験者が世代の一巡により減少するのと同時に、技術や社会の変化が経験則を懐疑的に捉えさせてしまうのではないかと私は考えています。

ちなみに、十二支それぞれの相場格言は、繁栄(子)、躓き(丑)、千里を走る(寅)、跳ねる(卯)、天井(辰)、天井(巳)、尻下がり(午)、辛抱(未)、騒ぐ(申)、騒ぐ(酉)、笑い(戌)、固まる(亥)、です。確かに、そこには大きな流れの存在が見て取れます。

2022年寅年は、まさに波乱が起きた「千里を走る」年だった

では2022年はどうだったでしょうか。2022年は寅年であり、対応する相場格言は「千里を走る」とされています。この「千里を走る」は政治・経済で波乱が起こりやすいとされているのですが、格言通り、ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮によるミサイル発射の連続、世界的な金利の急上昇、さらにはまさかの安倍元総理の事件、その後は宗教と政治の関係が政権を揺るがしかねない状況も招くこととなりました。

まさに波乱の1年であったと言えるでしょう。私はちょうど1年前に、2022年は「再始動への産みの苦しみの1年」と位置付けましたが、結果的にはほぼこの通りの展開になったと感じています。

「卯年相場」で取るべき投資戦略

このシナリオに沿って考えると、卯年の2023年は産みの苦しみを経て、新しい視界が開けてくるという流れになるのではと予想します。しかし、多くの人にとって新しい視界からの景色は、これまでとは異なる大きな変化と捉えられるはずでしょう。

そこで、私はそのような変化を含め、2023年は「波乱の1年」になるのではと予想しています。そのような流れにおける投資戦略は、基本的に少し長めの投資期間を前提としたバイ・アンド・ホールドが適していると考えています。

実際、(再来年となる)2024年辰年の相場格言は「天井」です。2023年はその天井に向けての尻上がりという展開に期待したいところです。ちょうど、2022年に世界中の株式市場の重石となった金利の上昇も、そろそろ天井ではないかという指摘も出始めました。ここから先を同じく相場格言で考えるとするならば、「未だはもうなり、もうは未だなり」、あるいは「頭と尻尾はくれてやれ」というアプローチが重要になってくるでしょう。

ベストタイミングでの参入を求めるあまり、結果として投資機会を逃してしまうということは避けたいものです。相場格言通りであれば、天井は再来年(2024年)なのです。少々タイミングの悪さがあったとしても、結果オーライになると割り切り、結局のところはまさに「跳ねる」相場であったと振り返りたいところです。