日経平均は調整色の強い展開が続いています。2月の衆院選後の急騰分は完全に帳消しとなり、一時は5万円割れが視野に入る局面もありました。日柄調整は既に終わり、現在は中東情勢の混迷や、それに伴う原油価格上昇への懸念など、先の見えない状況が株価の重石になっているとみています。残念ながら、このコラム執筆時点でも、事態がエスカレーションするのか沈静化に向かうのか、どちらが起こりやすいのかは分かりません。当然、投資リスクをどう取るべきなのかも考えようがないというのが率直なところでしょう。
引き続き、こうした局面での経験則にしたがい、刻々と変化する状況に合わせて小刻みに売買を続けるか、休むも相場と割り切って銘柄研究に時間を割くか、相場の乱高下の中で明らかに「売られ過ぎ」「買われ過ぎ」となった銘柄の発掘に徹したいところです。特に突然「先の見えない」状況が変化するケースに備え、「売られ過ぎ」「買われ過ぎ」となった銘柄の発掘準備は怠らないようにしておきたいと考えます。
「エージェントAI」とは何か、生成AIとの違いは?
さて、今回は「エージェントAI」をテーマに取り上げてみましょう。この言葉は皆さんも既に聞かれたことが多いのではないでしょうか。AIエージェント、エージェント型AIといった似た表記もよく見かけます。これらは厳密には異なる定義があるようですが、エージェントAIを広義に捉えれば、いずれもその一部という見方もできます。ここではあまり厳格に言葉を定義せず、広い概念を「エージェントAI」というワードに集約して議論を進めたいと思います。では、そもそもエージェントAIというのはどのようなAIなのでしょうか。まずはここから確認していくことにしましょう。
現在、エージェントAIは「自らどんどん気を利かせて、先回りして実際に対応してくれるAI」という位置づけにあります。大まかな指示に対し、エージェントAIは具体的な目標や計画を自ら設定し、それに沿った対応を実行してくれます。まさに気を利かせて対応してくれるAIということで、エージェント、つまり代理人というわけです。
生成AIが人間の指示を受けて、パターン認識から文章・画像を生成してきたのに対し、エージェントAIは自ら情報にアクセスし、『良かれ』と思ったことを実行するAIです。生成AIが指示を待つ受動態型であるとすれば、エージェントAIは自身で動ける能動態型、自律型のAIということができるでしょう。
なお、以前にコラムで取り上げたフィジカルAIは、エージェントAIの更なる進化形とも言えます。状況判断を自ら下したうえで、それに合わせて物理的な行動や操作を行うAIです。
整理すると、
エージェントAI:サイバー空間内で、能動的にアクションを起こすことができる
フィジカルAI:さらにその能動的アクションを物理的に実行できる
となります。フィジカルAIがこれから注目度の高まってくる技術であるとすれば、エージェントAIは既にさまざまな分野・領域で活用され始めている技術と言えます。
「新米スタッフ」の失敗と、市場の期待値
ただし、生成AIも黎明期には多くの誤情報が提供されて使い勝手が悪かったように、エージェントAIも(導入は進みつつあるとはいえ)まだ試行錯誤の段階にあると言えます。
2025年12月に衝撃的な事案が報告されました。サーバのキャッシュを削除すべきと判断したエージェントAIが、ハードディスクのデータを丸ごと削除してしまったという事例です。この件はネットでも大きな話題になりました。判断や実行を任せられた代理人が勝手な判断で暴走してしまったということです。これではまだ怖くて代理人に業務を委託できない、という判断にもなりかねません。人間でも経験未熟な人に仕事を任せたところ、とんでもない失敗をしでかしてしまったということは多々あります。同様に、AIもまた代理人となるには経験値が必要ということなのでしょう。
エージェントAIが株式市場でも注目され始めたのは2024年頃からと記憶しています。実態は「まだ一人で完全に任せるには心もとない新米スタッフ」という立ち位置かもしれません。そういう意味で、株式市場の期待と実勢にはやや乖離があると言えるでしょう。とはいえ、AIの進化は人間を大きく上回るのも確かです。これからさほど時間を置くことなく「代理人としてうまく切り盛りできる有能な戦力」となり、実力が市場の期待に追いついていくと予想します。同時に、それは次なるステージである「フィジカルAI」への期待がふくらむという形へとシフトしていくはずです。
投資戦略:選別フェーズに入る関連銘柄群
では、株式投資という観点ではどうでしょうか。エージェントAIそのものは既に株式市場で注目されたテーマですが、「新米スタッフから有望戦力へ」と進化するにしたがい、期待先行の連想による銘柄選択から、より現実的なメリットが期待できる企業を選別するフェーズに移っていくのではないかと考えます。
具体的には、実際にエージェントAIサービスを提供している富士通(6702)や日本電気(NEC)(6701)、日立製作所(6501)、ソフトバンクグループ(9984)などの企業群がまず浮かぶでしょう。潤沢な研究開発余力を武器に、AI開発投資を進めている企業群と位置付けられます。
また、サークレイス(5029)、TDSE(7046)、AI inside(4488)、エクサウィザーズ(4259)、ジーニー(6562)などの企業群も注目しておきたいところです。前段に掲げた大企業群に比べると新興色が強い中堅規模の企業群ですが、AIという進化の速いテクノロジーの特性もあり、こうした若い会社が一気に伸長する可能性は十分あり得ます。
もちろん、ここで言及できなかった企業が台頭してくるケースもあるでしょう。この領域は、公式サイトなどをもとに、じっくり企業研究をすることが、未来の10倍株(テンバガー)や100倍株の発掘に比較的つながりやすいのではと考えています。
