日経平均はじりじりと上げ基調を取り戻してきました。きっかけは中東情勢の混迷が沈静化に向かう兆しが見えてきたことです。米国とイランの2週間停戦が電撃的合意となり、ホルムズ海峡の開放もうたわれました。ただし、先日パキスタンで行われた米国とイランの協議は決裂となり、和平に向けての道のりも極めて厳しいとの懸念は拭いきれない状況です。
ホルムズ海峡においては米国が「逆封鎖」に言及するなど、混迷の度合いはむしろ増しているようにさえ見えます。協議継続が示唆されるなど、まったく先行きが見えなかった頃との比較では確かに前進と言え、だからこそ株価も上げ基調に転じてきたのでしょうが、上値を追えるほどの勢いには欠けるというのが現実と考えます。こんなことは考えたくもないですが、停戦期待に脆さが付きまとう以上、投資スタンスとしては「様子見」で臨むのが最上手と言わざるを得ません。引き続き、突然に「先の見えない」状況が変化するケースに備え、「売られ過ぎ」「買われ過ぎ」となった銘柄の発掘に時間を費やすのが得策と考えます。
東京一極集中の是正、「副首都構想」は実現するのか?
さて、今回は「副首都構想」をテーマに取り上げてみたいと思います。副首都構想とは、災害等の発生時に首都中枢機能を代替できる都市をつくり、首都機能の一部移転を通じて東京一極集中からの段階的移行を目指す構想とされています。端的には、東京のバックアップとなり得る都市を実現する構想と位置付けてよいでしょう。
近年、自然災害が増加し、南海トラフ地震や関東直下地震の可能性も指摘されています。上記の通り、地政学リスクも増しています。同時に、東京は過度な人口・経済集中状態にあるとの指摘もされています。危機管理という観点からも、また東京への集中緩和という観点からも、この構想は一定の説得力を持つものと受け止められるでしょう。
一方、行政機能の非効率化を招くとの指摘もあります。副首都機能を導入するにあたり、インフラ整備に相応の財政負担が強いられる懸念もあります。そもそも副首都をどこに設置するのかという段階から大きな議論を呼びかねず、副首都を選定するだけで膨大な時間と労力と費用がかかる可能性もあるでしょう。副首都設置の大義はあるものの、これまで実現に向けての動きが鈍かったのには、こうした背景があったことは否めません。
しかし、政権にもともと副首都構想を強く提唱していた日本維新の会が加わったことで、その実現性はにわかに現実味を増してきました。まだまだ紆余曲折はあるでしょうが、政権の枠組みに変更がない限り、この副首都構想は折に触れて注目されるものと予想します。
大本命の「大阪」と、意欲を見せる9つの自治体
その副首都候補としては、大阪がその最有力という見方が一般的です(「副首都は東京が良い」と言い放った誇り高き京都人もいましたが)。確かに大阪は人口規模も経済規模も大きく、東京から近すぎず遠すぎず、日本屈指の都市機能を既に有しています。大阪であれば、十分に東京のバックアップ機能をこなすことができ、自然災害の影響が連動する可能性も低いと言えます。
このほか、2025年12月の報道機関の調べによると、全20政令指定都市と政令市を有する15道府県の計35自治体のうち、新潟市、名古屋市、大阪市、堺市、北九州市、福岡市、大阪府、福岡県、熊本県の9自治体が副首都を目指す意向であると報じられています。
おそらくは各自治体の財政状況、住民の意思などが勘案され、これらの候補地から実際にどこかが選定されると予想しますが、議論はそう簡単に決着しないようにも思えます。現実味が増したとはいえ、副首都構想はまだ「構想」の域を出ていないというのが率直なところでしょう。
徒労に終わった平成の「首都移転構想」
なお、似たような構想として平成前期には首都移転構想がありました。目的はやはり東京集中の緩和と危機管理です。1990年に衆参両院で「首都機能移転を検討」という基本方針が確認され、その後に「国会等の移転に関する法律」が成立し、実際に候補地選定作業に入りました。しかし誘致合戦が加熱した結果、2003年の衆参特別委員会は「最適候補地を絞り込めない」と、事実上の凍結宣言を行い、大きな徒労感を残してこの構想は終息しました。
当然、この首都移転構想と副首都構想は条件や状況が異なるために同一視はできないものの、実現に向けては相当に難航する可能性が否めません。仮に構想が本格化することとなれば、この時の二の舞となることはなんとしても避けたいところです。
株式投資の視点で見る、副首都構想の関連銘柄
では、株式投資という観点ではどうでしょうか。もちろん、まだ構想段階のため、現時点ではあくまで期待の対象としての銘柄候補となります。
【大阪】構想の大本命、インフラ・鉄道・地元関連株
期待の筆頭は最有力と目される大阪関連でしょう。まずはインフラ関連として、うめきた再開発で実績をもつ大林組(1802)や三菱地所(8802)、交通を担う西日本旅客鉄道(9021)、阪急阪神ホールディングス(9042)、近鉄グループホールディングス(9041)、 NANKAI(9044)、京阪ホールディングス(9045)、通信・公益では、NTT(9432)、大阪瓦斯(9532)、関西電力(9503)などの名前が挙がってきます。
また、近畿3空港(関空・伊丹・神戸)の運営会社や2030年に大阪で開業を予定するカジノなど統合型リゾート運営会社に出資しているオリックス(8591)も王道の選択肢に入ってくることでしょう。これ以外にも、副首都が地元経済の活性化や人口増に波及するとすれば、大阪に本社を置く地元企業群にも、期待が集まるのではないでしょうか。
【福岡・熊本】九州エリアの成長を牽引する公益・建設株
大阪以外の副首都候補を考えると、福岡・熊本では九州電力(9508)、西部ガスホールディングス(9536)、西日本鉄道(9031)、九州旅客鉄道(9142)、若築建設(1888)、小野建(7414)などが挙げられるでしょう。
【新潟】地域を支えるインフラ・生活密着型関連株
新潟では北陸電力(9505)、北陸瓦斯(9537)、第一建設工業(1799)に加え、地元企業としてのコメリ(8218)、アークランズ(9842)などの名前が挙がると考えます。
【愛知】中部エリアの交通網と世界的メーカー関連株
また、愛知では中部電力(9502)、東邦瓦斯(9533)、東海旅客鉄道(9022)、名古屋鉄道(9048)、東建コーポレーション(1766)、トヨタ自動車(7203)などの企業が注目されるのではと考えます。
