まさに歴史的衝撃の結果でした。
英国のEU離脱については、先週5分5分と書きましたが、実際の投票日が近づくにつれ、やはり残留だろうという予想が多くなり、市場の方もそうした空気を濃厚に保っていました。それだけに金曜日のサプライズに世界中の市場は大混乱でした。
奇しくも、安倍総理が伊勢志摩サミットで発言した「リーマン級」という言葉、それこそ英国キャメロン首相が否定した、その状況(大暴落という意味で)がまさに英国発という形で世界の市場に襲いかかってきた様相です。

今回、質が悪いのは、危険が積み重なった上で崩壊したのと異なり、比較的楽観状況からの急転直下であり、今後EU他国の反対派・離脱派の動きが加速する可能性が大きく、先が見えないEU経済圏の崩壊の「始まり」になるかもしれないということ。それがテロ等の脅威に対する欧州全体の弱体化にもつながっていくとすれば、取り返しのつかない一歩です。
これで米国にまさかのトランプ大統領が誕生などということになれば、世界はどうなってしまうのか・・・。遠い国の話ではなく、日本にも密接に関係した、でも当然のことながら一石を投じることもできないという苦しい立場です。

残念ながら市場の安定には時間がかかりそうですし、安全資産としての円買い→円高がますます加速することによる日本株への打撃もしばらく収まりそうにありません。悪いことに日銀の政策は出尽くしたと思われるタイミングでの大打撃ですから、日本市場も厳しい状況です。一時的なショックの連鎖での株価下落だけではなく、日本企業の多くが欧州戦略の拠点としての英国に進出しており、今後の対応にも苦慮することになります。
過剰反応による相場急落などは、場合によっては長期個人投資家にとって買い場になることも多いのですが、今回は継続的に企業損益に大きな影響が考えられる事態でもあり、株式投資をする場合は通常以上に冷静かつシビアに分析をする必要がありそうですね。

こうした時、個人投資家はどう動くべきでしょうか。
諸説様々言われますが、投資家のタイプによっても異なるでしょう。
短期型投資家にとっては、不安的に乱高下する市場は、リスクは高くとも、それだけチャンスもあります。長期投資派にとっては、前述の通り、単なる過剰反応で急落した株式等については買い場である可能性が高いですが、しばらく不安定な相場が続くという覚悟も必要でしょう。
世界同時株安、円高となると多くの資産に含み損が出てくるのは間違いありませんが、投資というのはそういう場面もあるものです。焦った行動は禁物です。
ただし、一極集中型の投資をしている方はリスクの偏りは今後ますます危険ですので、この機に分散を心掛けるようにしましょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員