ついに殺人事件までも引き起こしたBrexit(=英国のEU離脱)問題。今週23日には国民投票が行われます。市場関係者の冷静な目では、離脱という選択は世界経済に大きなダメージを与えるという見方が多数です。もちろん経済だけの問題ではありませんから、離脱か残留は五分五分と言われています。
これって、米国トランプ氏の言動から大統領という選択は危険すぎる、ありえないという多くの部外者(米国民以外)の意見を他所に、ついに大統領候補として五分五分のところまで来ている状況にもどこか似ています。
当事者と外野からの見方は大きく変わってくるということなのか、国民の多くは経済や対外的な立場等々はそれほど重要な問題と思っていないということなのか・・・。
以前年長の友人とたまたま政治の話になったときに、「もう、経済なんてどうでもいいから・・・」という発言に驚いたことがありました。私自身はずっと経済に携わった仕事をしてきたこともありますが、経済が活性化するからこそ税収も増え、それにより福祉や教育等々の予算も増やせる・・・という考えがあります。
もちろん経済至上主義というわけではありませんが、過去どの国、どの時代においても活気があった時というのは経済活動も活発であった時だと思いませんか。

国の財政をわかりやすくするため家計に例えることがあります。家計では収入内で支出をおぎなう、そう簡単に借金は増やさないようにする・・・と赤字国債の残高状況を家計と比較した話を聞いたことがある方も多いでしょう。
別の視点からも見てみましょう。
例えば家計で収入が増えれば、その分これまで我慢していたものが買えるかもしれませんし、これまでの予算を増やすことも、貯蓄を増やすことも...選択肢は増えますよね。
同様に国家も収入が増えれば、様々な分野の予算を増やすことができます(まずは借金も減らせます!)。
さて国家の収入といえば税金(と赤字国債)が主ですが、増税以外で税金が増える方法もありますよね。景気がよくなって、企業活動が活発になり、労働条件が良くなり、国民の収入が上がり、財布の紐も緩くなる(=消費活動が活発化する)・・・これらが税収を底上げしてきます。

国においても個々の家庭でも、お金の流れ(経済)をきちんとコントロールし、豊かにすることで、他の分野、国家予算であれば社会保障や文教、科学の振興等、家計であれば趣味や教育、マイホーム予算でも、条件がよくなったり増額できたりにもつながります。マネーの問題を軽視し、あれもこれもと散財、借金まみれになれば後で苦しむことは明白です。
国民という立場でも、家庭人という立場でも、「おいしく見える」ものの魅力には負けやすいのは人の心理ですが、自らの生活を物質的にも精神的にも豊かにするための基礎には、現代社会においてはマネーコントロールが重要であると言えると思いませんか。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員