先週は伊勢志摩で開催されたG7、米国大統領の被爆地広島への歴史的訪問等、前向きな話題が多かったですね。印象的だったのが、米オバマ大統領の広島入りの際、被爆者に「謝罪は求めない、来てくれただけで嬉しい」と語る人が少なくなかったこと。許す、水に流すという考え方は日本人ならではの美徳なのではないかとあらためて思いました。こうした国民性は世界的には珍しいのではないでしょうか。日頃、日本は標的としてバッシングされることが多いため、特にそう感じます。

「許す」は理解した上で記憶に変え、受け入れていくというように思いますが、それは「忘れる」とは異なります。時として大きな災害や事件の後、それらを忘れてしまったのか、自分とは関係ないと考えているのか疑問に思うような行動をとる人を見かけることはありませんか?これは災害や事件を受け入れているわけではありません。日本人だからなのか、どこの国でも同じなのかは分かりかねますが。
投資の世界においても、残念ながら洋の東西を問わず、すっかり過去を「忘れて」しまうということが繰り返されています。

過去の大暴落や大損失。これらを忘れ、「(長く続く上昇基調において)今はバブルではない」と信じ込み、リスクを膨らましてしまう投資家は後を絶ちません。相場は上がれば下がるものですが、上昇トレンド時には「もしかすると多少の調整(下落)を伴いながらも、半永久的に上昇する新しい種類の相場なのでは・・・」と期待しがちなものです。下落時も同様で、相場に参加する投資家のマインドがすっかり冷え込んでいってしまうと、大きなインパクトでもないとその気分は転換されません。アベノミクス直前のどこまでも続くように感じた円高局面においても、まさか1ドル1円にはなることはないと信じているけれど、まさか100円台には戻るまい・・・といった雰囲気にマーケットはどっぷり浸っていました。そのまさかはその後それほど経たずにして実現することになりましたが(アベノミクスは円安に転換させ、それに伴う株価上昇をもたらしたという大きな功績があったのは事実ですね。現状については置いておいて)。

何も、大損したらいつまでも引きずり、投資を止めましょう、と言っているわけではありません。失敗は勉強です。投資には勉強は不可欠ですから、失敗することを恐れる必要はないのです。ただ、むやみに自信過剰になったり、欲張ったりすることなく、過去の相場状況を「忘れず」、謙虚さを失わないことも大切です。
今後も上昇基調が続く、ワクワクさせられるような相場状況はきっとまた来るとは思いますが、その時にけっしてリスクを膨らませることなく相場と向き合えるようにしていきたいですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員