東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて3日ぶりに反発となりました。59円高の27,633円でスタートした日経平均は寄り付きを安値に上げ幅を広げると11時20分過ぎに378円高の27,952円まで上昇し371円高の27,946円で前場を終えました。

370円高の27,944円でスタートした後場の日経平均は13時前に321円高の27,895円を付けた後やや戻し27,900円を小幅に上回って推移すると結局326円高の27,901円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

電力株が堅調でした。電力大手10社が送配電網の利用料として電力小売事業者から徴収する「託送料金」を2023年4月から値上げする計画を申請したと発表したことから収益の改善を期待した買いが入りました。なかでも東京電力ホールディングス(9501)が5.5%高、関西電力(9503)が2.6%高となったほか、東北電力(9506)は国内大手証券が目標株価を引き上げたこともあって5.3%高となっています。

また、岸田文雄首相が2027年度以降に必要となる年4兆円の防衛費増加分について、歳出削減などで3兆円ほど確保し、残り1兆円強を増税でまかなう考えを表明したことで財源確保のめどがつきつつあるとして防衛関連銘柄の一角を物色する動きがみられました。三菱重工業(7011)が一時2.8%高、川崎重工業(7012)が一時3.2%高、IHI(7013)も一時2.3%高となりました。

さらに昨日の米国市場で主要な半導体関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅高となったことで半導体関連銘柄が高く、東京エレクトロン(8035)が2.9%高、レーザーテック(6920)が5.2%高、SCREENホールディングス(7735)が3.4%高、アドバンテスト(6857)も5.8%高となりました。カプコン(9697)も一時4.1%高となりました。人気ゲームシリーズの最新作「ストリートファイター6」を2023年6月2日に発売すると発表したことを好感した買いが入りました。ノーリツ(5943)も一時4.1%高となりました。国内事業において部品調達難への対策を実施し3月以降順次生産高を伸ばし受注残の解消と納期の正常化を進めたことや、素材価格が高騰するなかで高付加価値商品の拡販を進めたことなどから通期の営業利益の見通しを50億円から67億円に上方修正したことで買いが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は326円高となりました。米新規失業保険申請件数で失業者が増加したことを受け米連邦準備理事会(FRB)が一段の利上げに動くとの懸念が和らいだことで昨日の米国市場が上昇したことから買いが優勢となり上げ幅を広げました。

しかし、昨日に割り込んだ75日移動平均線(27,571円)は回復したものの、引けにかけて伸び悩むと25日移動平均線(27,903)を上回って取引を終えることができませんでした。今週は本日だけでなく5日と6日も25日移動平均線を超えることができませんでした。そのため25日移動平均線が上値抵抗線として強く意識されそうです。

なお、日本時間の22時30分には11月の米卸売物価指数(PPI)が発表されます。来週に米消費者物価指数(CPI)の発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表といった重要イベントを控えていることもありマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)