ついにトランプ氏は共和党の指名獲得へ。冗談のような、まさかの展開で、いよいよ「トランプ大統領」という可能性が高まっています。
さて、言わずとも知れた不動産王で大富豪のトランプ氏。彼は波乱万丈の人生で実に4回も破産を経験しています。米国でのこのクラスの大富豪の破産は、日本でイメージされる破産・・・夜逃げや一家離散やホームレス化等々・・・とはだいぶ異なるようで、直近では2009年に自身の経営する会社が破産申請しましたが、現在大統領選では自家用機を使い、自腹で選挙運動を行っているわけです。
経営する会社の危機の際にも、自己資産はほぼ守り続けているというわけですね(自己の所有する自家用機やクルーザーは処分したこともあったようですが・・・)。
この豪快で、不死鳥のごとく復活を繰り返すところもアメリカン・ドリーム体現者として支持されているということですが、4度も破産をしたという事実、破産を回避できなかった点については注目されないのは国民性の違いなのでしょうか。

もちろん、米国の大富豪が皆このような豪放磊落なタイプというわけではありません。皆さんはよくご存じの投資家ウォーレン・バフェット氏は堅実な運用によって築いた巨額な資産と慈善活動でも有名です。
バフェット氏は中退したもののペンシルバニア大学ウォートンスクールに入学していますが、面白いことにトランプ氏は同スクールを卒業しており、この二人に若き日の共通点もあるのですね。
このバフェット氏、今年の自身の率いるバークシャー・ハサウェイ社の株主総会で成功の秘訣について質問されたときに以下のように答えたとのこと。
「IQ(知能指数)が高い必要はない。感情をコントロールすることが必要。自己破壊的な行動をしてリスクを冒さないこと」。
自己破壊的かつ感情のままの言動を繰り返すハイリスク型のトランプ氏と対象的です。日本にも派手な言動で注目を浴び、どん底に落ちても、なおテレビの画面に復活してくるようなタイプの人はいますが、日本人の国民性からも、投資を行う上において、やはり手本にすべきはバフェット氏のタイプでしょう。

バフェット氏は以下のような内容も語ったということです。
「賢く考え、言動に注意し周囲の信頼を得る、学び続けることが大切」。投資の心構えというより、生き方そのものの指南ですよね。
お金持ちになることが目標ではなく、より良い生き方を志すことで結果としてお金が付いてくる・・・と成功者だから言える理想論と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
でも目標を「お金持ち」ではなく、自身の理想を実現する金額として、学び続けることによって投資を続けよう、というのはFPとして常日頃語っていることです。誰もがバフェット氏のレベルを目指すわけではなく、自身の目標や満足を得る結果につながった時に、それはそれで「成功」と考えれば納得できますよね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員