米ドル急落の名残

現在も、市場には10月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)が市場の事前予想を下回ったことに伴う、米ドル急落の“残像”が残り続けているように感じられます。

先週11月14日には、ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)副議長が「おそらく利上げペースを減速することが間もなく適切になるだろう」と発言し、FRBが利上げペースを緩めるとの市場の見方を支持する格好にもなりました。

11月15日に発表された10月の米小売売上高はやや強めの結果でしたが、それを受けた市場では「消費者による早めのホリデー・ショッピングが影響したのでは(必ずしも強い消費動向を反映したものではない)」との声も聞かれていました。

実際、一部の米小売り大手は本来であれば、11月の第4木曜日の翌日を指す「ブラックフライデー」から始まるホリデーセールを10月から前倒しで実施しており、そのような店は「子どもの玩具や保存が利く食材などは、できるだけ安く手に入れておきたいという米消費者でごった返している」とメディアでも伝えていました。

とはいえ、市場の期待にはやや行き過ぎているところもあると思われ、多くの米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーらは、市場に広まる「FRBが早晩利上げ姿勢から離脱する」との憶測を打ち消すことに日々奔走しています。

セントルイス連銀のブラード総裁は11月17日、「政策金利はまだ十分に制限的とみなされるゾーンにはない」と述べた上で、ターミナルレートの5-7%のゾーンにも言及しました。

「7%」には少々驚かされますが、FRBの金融政策反応関数を定式化した「テイラー・ルール」に基づいて弾き出される数値データに、それだけの幅が生じ得るということは理解できなくもありません。

そのようなFOMCメンバーらの“努力”は、ある程度実を結んでいると考えられ、実際に先週の米ドル/円は相応に底堅い値動きとなりました。

一目均衡表の日足「雲」下限や8月2日安値から10月21日高値までの上昇に対する「61.8%押し」の水準など、重要な節目が位置する138円台半ばあたりでは、しっかりと買い支えられてジワジワと下値を切り上げ、週末11月18日の終値は日足「雲」下限を下抜けませんでした。

また、米ドル/円の週足ロウソクが1ヶ月ぶりの「陽線」となったことも見逃せない事実です。

米ドルは戻りを試す展開となるか

そもそも、10月の米CPI発表後の米ドルの下落が少々行き過ぎであったことも否定はできず、今週も基本的には一定の戻りを試す動きになると個人的には見ています。

そこで注目しておきたいのは1つにユーロ/米ドルの値動きです。先週は週末にかけて調整含みの展開となったところが印象的でした。11月15日には一時1.0480ドル台まで上値を伸ばす場面もありましたが、そこはかなり長めの上ヒゲ(日足)を伸ばす格好となり、やはりユーロ/米ドルの1.0400ドル処にある節目や200日移動平均線が戻りの限界になり得るとの感は強いものと思わされます。

よって、今週のユーロ/米ドルについては基本的に戻り売りのスタンスで臨みたいと考えます。ひとまずは1.0200ドル処が当面の下値の目安になると考えますが、少し長い目では89日移動平均線や1.00ドル処の大きな節目(=パリティの水準)が再び視野に入ってくるものと見ておきたいところです。

一方、ユーロ/米ドルが調整色を一層濃いものとするならば、同時に米ドル/円の上値余地もある程度広がってくると思われます。

目先は、先週11月14日や18日に試された140.70-80円処が目安となりやすいと見られますが、同水準を上抜けると89日移動平均線が位置する141円台半ばから142円処節目水準が次の戻りの目安として意識されやすくなるものと考えます。