【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ:  33,592.92   △56.22  ( 11/15 )
NASDAQ:  11,358.41   △162.19  ( 11/15 )

1.概況

米国市場は米卸売物価指数の伸びが市場予想を下回ったことで米連邦準備理事会(FRB)による利上げペースが鈍化するとの期待が強まり反発となりました。219ドル高でスタートしたダウ平均は直後に450ドル高まで上昇しましたが、その後上げ幅を縮めるとロシアのミサイルがポーランドに着弾し死者が出たと伝わったことで地政学リスクが意識されマイナスに転じ昼過ぎに216ドル安まで下落しました。しかし、まもなくして持ち直しプラスに転じると結局56ドル高の33,592ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も162ポイント高の11,358ポイントとなっています。

2.経済指標等

10月の米卸売物価指数(PPI)は前年同月比8.0%上昇と前月から伸びが鈍化し市場予想も下回りました。また、11月のニューヨーク連銀製造業景気指数は4.5と前月から上昇しマイナスを見込んでいた市場予想を上回りました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、コミュニケーション・サービスと情報技術、一般消費財・サービス、不動産、エネルギー、生活必需品、公益事業が1%以上上昇しました。一方で素材とヘルスケアの2業種が下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では決算が市場予想を上回ったウォルマート(WMT)が6%以上上げ上昇率トップとなったほか、ナイキ(NKE)とセールスフォース(CRM)も2%を超える上昇となりました。ホーム・デポ(HD)とビザ(V)、ウォルト・ディズニー(DIS)、アップル(AAPL)、インテル(INTC)、ハネウェル・インターナショナル(HON)、ボーイング(BA)も1%以上上げています。一方でユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が2%余り下落し、トラベラーズ(TRV)とマクドナルド(MCD)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)も1%以上下げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、投資判断の引き上げを受けてネットフリックス(NFLX)が3%を上回る上昇となっています。グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も物言う株主が積極的なコスト削減を要求する書簡を送ったことで3%近く上げています。また、半導体株が堅調でクアルコム(QCOM)が4%以上上昇し、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も4%近く上げました。エヌビディア(NVDA)とマイクロン・テクノロジー(MU)も2%以上上昇しています。

5.為替・金利等

長期金利は米卸売物価指数の伸びが鈍化し市場予想を下回ったことで0.08%低い3.77%となりました。ドル円は139円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が小幅な上昇に止まったことから小動きでのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の28,000円を回復できるかがポイントとなりそうです。

( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)