【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ:  32,001.25   ▼146.51  ( 11/3 )
NASDAQ:  10,342.94   ▼181.86  ( 11/3 )

1.概況

2日の米国市場は米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長引くとの警戒が広がり3日続落となりました。76ドル安でスタートしたダウ平均は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を午後に控え様子見ムードも強く小幅安で推移しましたが、FOMCの声明を受けてFRBが利上げペースを緩めるとの期待から結果発表直後にプラスに転じ418ドル高まで急速に上げ幅を広げました。しかし、パウエルFRB議長の記者会見を受けて金融引き締めへの警戒感が強まると再びマイナスとなり引けにかけて下げ幅を大きく広げました。結局ダウ平均は505ドル安の32,147ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も366ポイント安の10,524ポイントとなり3%を超える下落となっています。

3日の米国市場は金融引き締めの長期化を警戒した売りが続き4日続落となりました。162ドル安でスタートしたダウ平均は朝方に420ドル安まで下落しましが、その後持ち直すと午後には前日終値を挟んで小幅に揉み合う展開となりました。しかし、引けにかけて売りが優勢となりやや下げ幅を広げると結局146ドル安の32,001ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も181ポイント安の10,342ポイントとなっています。

2.経済指標等

2日に発表された10月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は23万9000人増となり市場予想を上回りました。また、米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で4会合連続となる0.75%の利上げを決めました。声明では金融引き締めの経済への影響を検証するとし利上げペースを一旦緩める方針を示唆しましたが、パウエルFRB議長は記者会見で政策金利の最終的な水準が以前の予想より高くなるとの認識を示しています。

昨日発表の10月の米ISM非製造業景況感指数は54.4と前月から低下し市場予想を下回りました。7-9月期の米労働生産性指数速報値も年率換算で前期比0.3%上昇に止まり市場予想を下回りました。一方で先週一週間の新規失業保険申請件数は前週比1000件減の21万7000件となり増加を見込んでいた市場予想に反して改善しました。また、9月の米製造業受注は前月比0.3%増となり市場予想と一致しています。さらに9月の米貿易収支の赤字額は前月比11.6%増の732億8200万ドルとなっています。

3.業種別動向

2日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも一般消費財・サービスと情報技術、コミュニケーション・サービスが3%以上下落し、不動産と素材、エネルギーも2%を超える下落となりました。

昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち6業種が下げ、情報技術とコミュニケーション・サービスが3%近く下落し、金融も1%余り下げました。一方で5業種が上げ、エネルギーが2%高となり、資本財・サービスも1%高となっています。

4.個別銘柄動向

2日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中26銘柄が下げました。そのなかでもセールスフォース(CRM)が6%余り下落したほか、ウォルト・ディズニー(DIS)も4%近く下げました。アップル(AAPL)とナイキ(NKE)、マイクロソフト(MSFT)、インテル(INTC)も3%以上下落しています。一方でボーイング(BA)が3%近く上げ、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)も1%近く上昇しています。ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株の下げが目立ちテスラ(TSLA)が5%を超える下落となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)とネットフリックス(NFLX)、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も5%近く下げました。グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も4%近く下落しています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄ではボーイング(BA)が主力小型機737の販売が伸びることで来期のフリーキャッシュフローが拡大するとの見通しを明らかにしたことから6%以上上げ上昇率トップとなりました。また、キャタピラー(CAT)も2%を超える上昇となり、ハネウェル・インターナショナル(HON)2%近く上げています。一方でアップル(AAPL)が4%以上下げ下落率トップとなり、ビザ(V)とアメリカン・エキスプレス(AXP)も3%前後の下落となっています。ダウ平均構成銘柄以外では、主力ハイテク株の下げが目立ちグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)とテスラ(TSLA)が4%前後の下落となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も3%余り下げました。さらに半導体大手のクアルコム(QCOM)が決算で10-12月期の業績見通しが市場予想を大幅に下回ったことで7%を超える下落となっています。

5.為替・金利等

2日の長期金利はパウエルFRB議長の記者会見を受け金融引き締めが長期化するとの見方が強まり0.06%高い4.10%となりました。昨日の長期金利は0.05%高い4.15%となりました。ドル円は148円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が2日と昨日の2日間で650ドルを超す下げとなったことから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は27,500円を割り込みそうですが、米雇用統計の発表を控え様子見となりやすいなかで朝方の売り一巡後に下げ渋るような動きをみせるかがポイントとなりそうです。

( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)