今週は言うまでもなく、今後の展開をにらむうえで非常に重要な週である。米国ではFOMC、雇用統計という2大イベントがあり、日本企業の決算発表も佳境を迎える。ここを株価浮揚の足掛かりにできれば年内残り2カ月は上昇基調に乗って年末高へと向かうだろう。
週明けの日本市場は、先週末の米国株の大幅高を受けて高く始まるだろう。日経平均は27500円の節目を抜けそうだが、その水準には75日移動平均がある。この10月は、上値を75日移動平均で2回抑えられてきた経緯があるので、3度目の正直でここをきれいに抜ければ一気に視界が開けるだろう。
まず焦点はFOMC後のパウエル議長の発言だ。今回、利上げ幅は75bpsのままだろうと思われるが、パウエル議長から今後の利上げ減速に関する示唆が得られるか注目が集まっている。中間選挙を目前に控えて、景気へ配慮したトーンになるのではないか。
11月4日発表の10月の雇用統計では、失業率は3.6%、非農業部門雇用者数は前月から20万人程度の増加が見込まれている。前回から若干の悪化だが雇用統計はぶれやすい。上振れは要注意だが、求人数の大幅減や企業の人員整理などを考えれば、そろそろ下に振れてもおかしくない。
もうひとつ重要な経済指標は11月1日発表のISM製造業景況指数だ。市場予想は50ちょうどの見通しだが、もし50割れとなればインパクトは大きいだろう。長期金利の大幅低下⇒株高につながる。
日本企業の決算発表も佳境を迎え、東証プライムは10月31日が前半のピーク。31日にアステラス(4503)、塩野義(4507)、第一三共(4568)、コマツ(6301)、レーザーテック(6920)、村田製(6981)、商船三井(9104)、ANA(9202)、1日に花王(4452)、日本製鉄(5401)、ソニー(6758)、TDK(6762)、三菱重(7011)、トヨタ(7203)、三井物産(8031)、JAL(9201)、2日にエムスリー(2413)、SUBARU(7270)、野村(8604)、KDDI(9433)、4日にJFE(5411)、伊藤忠(8001)、日本郵船(9101)などが予定されている。
米国市場では5四半期ぶりに前年同期と比べ増益となったゼネラル・モーターズや大幅な増収増益となったキャタピラーなど景気敏感株が好決算を受けて買われている。半導体など部品不足が解消し生産が回復、売り上げ増につながった。原材料高も吸収できた。このような状況は日本の自動車や機械セクターにも当てはまるだろう。今週のコマツ、トヨタ、SUBARUなどに注目したい。
日経の報道によれば3社に1社が上方修正だという。円安の効果はやはり大きい。日本企業の底堅い業績が改めて見直されるフェーズに入るだろう。米国長期金利の頭打ちのタイミングで日本企業のバリュエーション見直しが合わされば、日本株の水準訂正の機運が高まるだろう。
予想レンジは2万7000円 ~ 2万8000円とする。