モトリーフール米国本社、2022年10月25日 投稿記事より

主なポイント

・キャシー・ウッド氏が10月24日にズーム・ビデオ・コミュニケーションズ、トゥイリオ、テスラの株式を購入
・ズーム・ビデオ・コミュニケーションズとトゥイリオは高値から大幅安の水準
・テスラは決算内容が失望を呼び、株価は急落

グロース株重視のキャシー・ウッド氏の買い物リスト

アーク・インベストメントの共同創業者で、優れたストックピッカーであるキャシー・ウッドCEOは先週、同社が運用する上場投資信託(ETF)のポジションにほとんど手を加えませんでした。

その反動でしょうか。週明けの10月24日、ウッド氏はズーム・ビデオ・コミュニケーションズ、トゥイリオ、テスラなど、いくつかのお気に入り銘柄を追加購入しました。ウッド氏が購入を決めた理由について探ってみましょう。

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ

パンデミックの初期に比べると、オンライン会議を実施する頻度は減っており、当然ながら、それはオンライン会議サービス大手のズーム・ビデオ・コミュニケーションズに重くのしかかっています。2020年当時、ソーシャルディスタンスが叫ばれ、自宅待機が推奨されたことで、ズームを活用したオンライン会議が急速に浸透し、同社は時代の寵児としてもてはやされました。ズームは、職場のコミュニケーションや学生の授業など、多くの人々の交流を可能にする重要なツールでした。しかし、今ではもう、ソーシャルディスタンスはほとんど行われていません。

売上高は3桁のペースで急増していましたが、今では成長率は1桁に落ち込んでいます。過去7四半期の前年同期比増収率を見ると、減速は明らかです。

2021年度第4四半期:369%
2022年度第1四半期:191%
2022年度第2四半期:54%
2022年度第3四半期:35%
2022年度第4四半期:21%
2023年度第1四半期:12%
2023年度第2四半期:8%

直近の2023年度第2四半期決算発表時に、経営陣は今四半期(2022年8-10月期)の増収率が5%になるとの見通しを明らかにしました。利益は既に減少に転じており、純利益は過去2四半期連続で、前年同期比で減益となっています。

好調とはとても言えませんが、しかしズーム・ビデオ・コミュニケーションズのファンダメンタルズは、株価が示すよりも良好な状態を維持しています。法人顧客は定着しており、しかも過去1年間の同社への支払額は、その前の1年間と比べて20%増加しています。バランスシートは強固で、負債は少なく、50億ドルを上回る現金および短期の有価証券を保有しています。実績利益に基づく株価収益率(PER)は24倍ですが、時価総額でなく企業価値で測ると、実績利益の19倍となります。経済が不況に向かい、金利が上昇している環境下では、流動性が高く、負債が少ない企業が有利であることは言うまでもありません。

トゥイリオ

トゥイリオも、パンデミック初期の高値から大きく売られています。アプリ内コミュニケーションの主要プロバイダーである同社は、フードデリバリーのドライバーが近くまで来たことや、予約しようとしていた貸別荘が空いたことを知らせてくれるなど、裏方で働く大きな存在です。

同社が提供するソリューションは、スマートフォンの利用者が、使用中のアプリから離れることなく多くのことをこなせるようにするもので、莫大な収入をもたらします。2022年第2四半期の売上高は、予想を上回る前年同期比41%増となりました。経営陣は、来週発表予定の第3四半期決算で、増収率が同31%増に減速すると予想しています。同社のプラットフォームは好調ですが、ソーシャルネットワーキングサイト、消費者向けオンデマンドビジネス、暗号取引所といった一部の顧客は、ここ数ヶ月で逆風に直面しています。それでもウッド氏は、最新決算が発表される前にトゥイリオ株を購入することに、迷いはなかったようです。

テスラ

アーク・インベストメントが先週(10月20日)に唯一購入したのが電気自動車(EV)メーカーのテスラで、ウッド氏は10月24日に同社株をさらに買い増しました。テスラは、アーク・インベストメントの保有銘柄の中で数少ない、2021年に株価が上昇した銘柄の1つです。ウッド氏は定期的にテスラ株を売却し、低迷している別の保有銘柄を買い増しています。しかし、最近ではテスラの株価も低迷しているため、同氏が戦術を転換したこともうなずけます。

テスラが10月24日に発表した業績アップデートの内容に、ウォール街は失望しました。在庫水準は上昇し、粗利益率は縮小しています。中国の混乱も業績の足を引っ張る可能性があります。しかし、短期的にはこうした課題がありますが、テスラは引き続き、活況のEV市場の中で憧れのブランドです。

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ、トゥイリオ、テスラの株価はいずれも、高値から大幅に下落していますが、依然として魅力的なグロース株であり、株価も魅力的な水準にあります。ウッド氏も先週は買いを控えていましたが、これら3社への投資を増やすことに決めたようです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Rick Munarrizは、テスラおよびトゥイリオの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はテスラ、トゥイリオ、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。