先週の上海総合指数と深セン総合指数は上昇しました。先週はいくつかの好材料が出ました。まず、中国の政府系ファンド(SWF)の国内投資部門である中央匯金投資が中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行、中国銀行(いずれもA株)を2012年10月10日に買い増した他、このような株式購入を今後12ヶ月かけて続けると発表しました。また、上海証券報によると中国の主要保険会社も9月28日以降、株式投資を急加速したとあります。9月26日には中国保険監督管理委員会(CIRC)が保険会社9社に対して資産運用業務を外部に受託することを許可していますが、この流れに沿った動きと言えます。中国の大手保険会社はほとんどが国営企業であるため、政府系ファンドと保険会社の株式投資の加速は国家が株価安定策を行っていることとほぼ同じような意味を持つため、株価に大きなプラスとなりました。
その他の好材料としては2点。1点目は国営の中国証券報によると、中国政府はまもなく地方の自動車購入に補助金を導入するとのことです。当然ながらこれは自動車セクターにとって良いニュースです。2点目は10月9日に中国人民銀行がリバースレポ操作を通じて短期金融市場に2650億元(約3兆3000億円)を注入したことです。これは1日の規模としては過去2番目の規模であり、金融緩和が促進されたことになります。
ここまでの動きを見ると、ようやく中国政府が景気刺激策、株価対策に動き始めたという印象があります。それは、11月8日に開催される第18回共産党大会と、そこで予定されている10年に1度の政権交代の前後で株価が急落することを阻止する動きのようにも見えます。このように考えると、これから11月8日までは株価は堅調に回復することも考えられます。そしてその先を見ると、2013年3月に行われる両会(中国全土に関する政策が決定される全国人民代表大会と各界の代表者などによって開かれる中国人民政治協商会議の2会の総称)までに新政権の新しい政策や指針が決定されて、随時発表されていくことになると思われます。新政権としては政権交代直後に更に景気が悪化するようだと信頼や信用に関わってきますので、中国経済と株式市場にとって良いニュースが発表されていくことが期待されます。