IMF、2023年の世界の経済成長率を下方修正
国際通貨基金(IMF)は四半期ごとに世界経済見通しを公表していますが、2022年10月11日に最新の見通しが示されました。2022年の成長率見通しは3.2%と前回から変わらないものの、2023年の見通しが前回の2.9%から2.7%へ下方修正されました。2023年の成長率は世界金融危機とコロナ禍の一時期を除いて2001年以降で最も弱い数値となります。また、世界経済の約3分の1が2四半期連続でマイナス成長入りすることが見込まれるなど、世界経済のリセッションリスクへの警告が発信されました。
見通しに対する不確実性は非常に大きく、下振れ方向のリスクが強調されています。金融政策が正しく遂行されるか、ドル高進行が国家間の緊張につながる可能性、エネルギー・食料価格のショックによるインフレ長期化、ロシアの緊張、中国不動産問題など多くのリスク要素が指摘されています。
なおIMFの今回の世界経済見通しのテーマは「生活費危機への対処」です。経済活動は広範に当初予想より鈍化しており、また物価が高水準にある中で、金融政策が物価安定に向けて推し進められるべきであること、また財政政策は金融政策同様に引き締めスタンスを保ちつつ、生活費の圧力を和らげることが推奨されています。
2022年はリスク資産の不安定な推移が続いていますが、実体経済の鈍化は今後表面化する様相です。IMFのチーフエコノミストは「最悪期はこれから」と記載しました。地域別にも広範にわたり景気減速が意識され、特に欧州は金融環境の引き締め、エネルギー問題等から2023年は厳しい状況が想定されています。資産運用においても短期的には分散・ディフェンシブが意識される局面です。
日本は相対的に良好なマクロ環境
なお同日、OECD(経済協力開発機構)が9月の景気先行指数を発表しました。長期平均を100とした数値ですが、OECD諸国の数値は98.6と成長鈍化が示されています。欧米諸国は100を切る景気鈍化の状況が確認される一方、インドと日本は100を上回る安定成長の状況にあります。
IMFの経済見通しにおいてもインドの2023年の成長率は6.1%と主要国では最高の数値です。一方、日本の成長率は低位ですが、安定しているとも言えます。コロナ禍からの正常化が遅れた分、相対的に良好なマクロ環境にあります。
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