今週(9月30日~10月6日)の相場動向
相場回顧 BTC:過度な利上げ懸念が後退しBTC=20,000ドルを回復するも上値は重い
ビットコインは利上げ継続懸念や2022年第3四半期末売りによって株式市場が下落するなか軟調に推移したが、BTC=274万円(19,000ドル)付近では底堅い値動きとなった。欧州の9月消費者物価指数<速報値>では前年比10%上昇と過去最高を更新し、次回ECB会合での追加利上げ懸念が強まった。また、米8月個人消費支出ではサービス需要が堅調であった一方で、消費財への支出が減少し、まちまちの内容となった。2022年第4四半期がスタートしてからは、米9月ISM製造業総合指数の悪化を受けて米長期金利が低下し、米国株とともに買いが強まった。豪準備銀行が利上げ幅を縮小したことで過度な利上げ懸念も後退し、米国株が大幅続騰するなかBTC=289万円(20,000ドル)を回復した。しかし、続けて発表された米9月ISM非製造業総合指数が市場予想を上回り、米長期金利が再び上昇に転じたことで上値も重くなった。週末にかけては米9月雇用統計を前に様子見ムードが広がった。
来週(10月7日~10月13日)の相場予想
BTCは米9月CPIが伸び鈍化なら上昇することも、欧州リスクに注視
金融市場では世界的な利上げ継続が一番に懸念されている。本来であれば経済指標の改善は景気回復と捉えられるはずだが、それがかえって市場に利上げを意識させ、売りが強まる展開になっている。来週は米9月消費者物価指数の発表があり、前月に続いて市場予想を上回る結果となればインフレ継続によって株式とともに下落する恐れがある。一方で、原油価格の下落などによって企業の仕入れ価格は低下しており、物価上昇に鈍化の兆しがみられた場合には買いが強まるだろう。米FOMC議事要旨でFRBのタカ派姿勢が再び意識されるかにも要注目である。
また、ウクライナのNATO加盟申請と、ロシアのウクライナ4州併合宣言をきっかけに両国間の緊張関係が再び強まっている。欧米がロシアに対する追加制裁に動くなか、ロシアがウクライナとの国境付近で核実験を計画しているとの報道もある。その動きが具体化したときには世界経済の先行きがより不透明になり、金融市場全体にネガティブな影響が及ぶだろう。とくに欧州では、クレディ・スイスのデフォルト懸念も新たなリスクとして意識されており、さらに景気後退が深刻化する可能性がある。
暗号資産市場では金融市場に左右される展開が続いている。しかし、直近では米国株下落時にもビットコインは底堅く推移しており、先週も指摘したように、相関が弱まるなかでビットコインがインフレやドル高のヘッジ資産として買われることは考えられる。また、ロシアがデジタルルーブルの導入に動いているとの報道や、新ロシア派が暗号資産で戦費を調達しているとの報道があり、ロシアウクライナ戦争に関連して再び暗号資産への注目が強まる可能性もあるだろう。米国ではリップル社と米SECの訴訟が和解に近づく可能性が浮上し、リップル(XRP)が急騰するなどの動きもみられる。
直近上値としてBTC=332万円(23,000ドル)、下値としてBTC=260万円(18,000ドル)を意識する。
※1ドル=144.50円で換算(執筆時)