資産運用の目的は「リターンを上げること」であり「楽しむこと」ではありません。こう言うと当たり前と思うかもしれませんが、実際の投資行動で実践できている人はあまりいなかったりするものです。

金融資産の運用成果はアセットアロケーションで決まる

金融資産の運用成績の大半はアセットアロケーション、すなわち資産配分によって決まると言われています。

運用成果は銘柄選択や投資をするタイミングによっても変わりますが、それらの与える影響は大きなものではありません。

それどころか、銘柄選択や投資をするタイミングを考慮しても、逆に運用成果が下がってしまうこともあり得るのです。

銘柄選択してもインデックスには勝てない

プロとしてお金を預かり、仕事として銘柄選択を行っているのがファンドマネージャーです。ファンドマネージャーが運用する投資信託をアクティブファンドと呼びます。

これに対して市場平均に連動する運用成果を目的とする投資信託は、インデックスファンドと呼ばれます。

日本株を含む多くのマーケットでは、インデックスを超える運用成果が出せるアクティブファンドの数は全体の半分以下にとどまっています。

つまり、アクティブファンドを自分で選んでもインデックス以下の運用成果しか得られない可能性があるということです。

タイミングを考えると高値掴みになる

投資のタイミングを知るために情報収集している人がいますが、行動経済学的に見るとタイミングを考えると高値掴みになってしまうリスクが高まります。

私は早稲田大学オープンカレッジで2001年から資産運用講座を開講しています。受講生の数には増減があるのですが、20年間で見ると日経平均に連動していることがわかります。

株価が下がると受講生の数が減り、株価が上がると受講生の数が増える。これは高値になると投資を始める人が多いことを示しています。

また、世界的に軟調な株式マーケットが続き不安になる方も多いかと思います。しかし、このような時こそ投資を継続するのが良いと考えます。

タイミングを考えてしまうと、高値で割高になっている最悪のタイミングで投資をしてしまうことになりかねません。

経済成長こそインデックス運用の収益の源泉

市場平均に連動するインデックスを使った運用は、市場全体に連動する運用成果を目指すものです。

金融マーケットは経済成長と短期的には乖離することもありますが、長期的には連動した動きとなります。資本主義社会において経済成長が続く限り、株式を中心とした金融商品にインデックス型の運用をすれば、経済成長の恩恵を受ける。これは過去のデータが証明しています。

インデックス運用は短期のリターンを求めるのではなく、長期的な成果を実現するのに向いた投資手法です。

株価下落時こそ基本に忠実に投資を続ける

多くの個人投資家は、リーマンショックのようなマーケットが下落した時に悲観的になって投資を止めてしまいます。

後から振り返ると、そのようなタイミングが実は絶好の買い場だったりするのです。そのため、投資を続けるか否か、をマーケットの動きで判断するのではなく、下落した時も淡々と続けていくのが良いと考えます。

2022年に入ってから米国をはじめとする世界各国の金融引き締めによって、株価が低迷しています。投資を始めるタイミングとしては最悪のように見えます。

しかし、過去のデータを見れば、このような時こそ投資を止めないで基本に忠実なやり方で続ける。それが、最終的に最も良い結果に繋がることがわかります。

金融資産はコストを下げてインデックスで運用し、投資タイミングを考えない定額積み立てを活用する。

私はこの方法でもう10年以上投資を続け手間をかけずに大きな成果を手にすることができました。

10年後20年後を見据えた投資であれば、マーケット環境に関係なく基本に忠実な方法を愚直に続けることが良いと思います。