タカ派寄りのパウエル発言、秋以降も大幅利上げ継続の意向

8月26日のダウ平均は約1,000ドル安となりました。200日移動平均線付近から下に折り返し、値幅調整が加速しています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がジャクソンホール会議での講演で、インフレ抑制に強い姿勢を示したことで早期の利上げ終了や利下げ転換時期の見通しが後ずれしたとの見方が広がり、リスク回避が強まる格好となりました。

一方、ジャクソンホール会議の前から、市場での利上げ見通しの緩和期待を抑え込むようなFRB当局者らによるタカ派寄りの発言が出ていました。そのため、パウエルFRB議長のタカ派寄りの発言はある程度は予見できたことではないでしょうか。

今後の米国株の動きとは

米ドル/円や長期金利以上に株価の反応が大きかったのは、短期間で4,000ドル以上も上昇していたからです。ダウ平均の200日移動平均線を下回る調整は8月22日の時点で明確になっていました。説得力のある材料に少し遅れた売り方が便乗しただけのような気もします。8月26日の取引時間中の動きをみると、まさに売りが売りを呼ぶ動きだったようです。

米国株は当面はボラタイルな動きが続くでしょう。ダウ平均は32,000ドルを一時的に下回る可能性が高いですが、6月17日安値から8月16日高値までの上げ幅に対する50%押し31,967ドルに近く、そこは6月28日につけた取引時間中の戻り高値31,885ドルにも近い水準となります。

また61.8%押しなら31,420ドルとなり、そこは7月8日の取引時間中の高値31,511ドルに近い水準となります。ここから売って、どれだけの幅を取るつもりなのでしょうか? むしろ、直近の超過熱ゾーンから早くも突っ込み買いのタイミング待ちという状況ともみられます。

エリオット波動から予想する株価の動き

足元の調整は、エリオット波動で言う2波のような心理状況が当てはまるのではないでしょうか。エリオット波動は8波で構成されます。上昇波が1~5波(上昇→調整→上昇→調整→上昇)あり、下降波がa~c波(下落→戻り→下落)であると定義されています。

それぞれの波には特徴があります。1波の上昇は、「未成熟な推進波。通常3つの上昇のうちで最も短いことが多い。ショートカバー中心で戻り売りムードも強い。ベアマーケットラリー(弱気相場の中での一時的な反発)ではないか、と疑心暗鬼の気持ちが前面に出てくる」局面です。

2波の調整は、「悪材料が蒸し返され、やっぱり一時的な反発か…などと、1波で疑心暗鬼に買い進まれた反動で、深押しが多い」というのが特徴です。

しかし、3波の上昇は、「通常、3つの上昇のうちで最も長くて力強く、最短となることはない。上昇幅は第1波の1.62倍以上の確率が高い。トレンド系指標に買いシグナルが発することや、ファンダメンタルズも好転し出来高は最大となる」という特徴があります。

もし、仮説を挙げるとするならば、トレンド系指標である200日移動平均線が今の下向きから上向きに変化することを通じて、3波のような上昇がやってくるでしょう。ただ、そこまでに至るには多少なりとも時間がかかるかもしれません。