4月に一度書きましたが、来年1月から相続税法が変わります。

第357回 相続税も変わる!
>http://lounge.monex.co.jp/column/money/2014/04/21.html

今年も半分と1カ月が過ぎ、新聞などで改正相続税対策の記事を見かけることが増えてきました。
そこで、心構えや対策をあらためてご紹介したいと思います。

相続税の課税対象がぐんと増えるということを前回にも書きました。
例えば都心部に持家がある場合、被相続人の人数にもよりますが、これまで相続税がかからなかった方でも来年以降は課税対象となる可能性があります。これまでも相続税がかかるという方であれば、その課税額が今後大きく増えることになります。

その事実を認識していても、相続=自身に万が一の時、ということから考えること自体を忌避する方もいらっしゃいます。
また、長命のリスク=いくつまで生きるのかわからない、入院等の長期化で今後どれだけお金がかかるかわからない・・・だから手元に現金を置いておきたい、相続対策よりそちらが優先、という考えもあり、そのお気持ちもわからなくはありません。

相続税の節税対策は将来配偶者や子・孫にかかる税金をなるべく少なくするためのもので、今現在のお金が消えてなくなるわけではありませんから、目先の預金残高の数字や手元の現金に固執しないように気持ちを切り替えていくことが大切ですね。そのためにも前回も書いたように、現在の資産の把握と共に今後の人生でどれくらいお金がかかるのかをざっくりでよいので一度計算してみましょう。

さて、相続税対策としては以下などがあります。
1.資産そのものの縮小・移転・・・年間110万円までの非課税贈与や20年以上連れ添った配偶者への居住用不動産の贈与(2000万円までが非課税)、孫への教育資金贈与(1500万円まで非課税)等の非課税贈与を活用することで資産の一部を早めに移転することができます。
2.課税価格の引き下げ・・・資産は現金で保有しているとその金額のまま課税価格となり節税効果はゼロです。
<不動産活用>不動産評価額は時価より低く評価されます。使用していない不動産を賃貸に利用することでより評価額を引き下げられます。
<生命保険活用>生命保険の相続税評価額には非課税枠(500万円×法定相続人)があるため評価額を引き下げられます。
また、受取人を指定できることから「争族」回避にも効果があります。

いずれも自身の財産の流動性は減りますので、余剰資金のある方向けのもので、預金残高を減らしたくないというお気持ちには反することとなりますが、対策の有無は将来大きな差になることを再認識されることをオススメします。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員