米CPI予想を下回り、米国株式市場は上昇
先週のマーケットは、前週からの上昇のモメンタムを持続して始まりました。8月10日(水)、市場が注目していた7月の米CPI(消費者物価指数)は前年同月比8.7%上昇の予想に対し8.5%上昇と発表されました。久しぶりに市場の予想を下回ったことが好感され、株価の上昇が続きました。
今回発表されたインフレ指標は決してこれを以てインフレがピークをつけ、今後下がっていくことを示唆する内容ではありません。ただ、昨今の市場の非常に強いインフレに対する懸念を払拭し、株式を買う理由としては十分だったようです。
S&P500は半値戻しを達成
先週のS&P500は3.26%上昇、ナスダック100も先週1週間で2.71%の上げとなりました。両指数とも4週連続での上げとなりましたが、これは2021年11月来最長となっています。小型株指数のラッセル1000も先週は3.34%上昇しており、米国株式市場におけるラリーの裾野が広がっていることを示しています。
これまでの上げでもってS&P500は年初から6月までの下げの半分を取り戻したことになります。未だこのマーケットの上げをベアマーケットにおける一時的な上昇と懐疑的に見ている投資家は少なくないものの、悲観的な雰囲気がマーケットを支配していた2ヶ月前とは違っており、明らかに投資家の株式に対する姿勢はリスクオン(リスクの高い資産への投資を増やすこと)のスタンスに変わってきていると言えるでしょう。
株式市場全体のバリュエーションを見てみましょう。S&P500の先週の引値の4,280ポイントは、2023年の予想EPSである244ドルで見ると18.9倍のPERですが、これは年初の21.4倍と比べると、まだ割安感があると言えるでしょう。また、個別株レベルで見ると、アナリストによる目標株価と現在の株価の差は10%割安です。株価は上がってきましたが、割高なレベルまでは上がってきていません。
米国株、年末に向けた展開予想
前回コラムで紹介した米国株の季節性も手伝い、年末のS&P500は2022年の年初につけた4,800ポイントを抜いてくる展開になってもおかしくないと考えています。これは2023年の予想EPSである244ドルのPER20倍、2024年の266ドルの18倍のPERのレベルです。
とは言え、さすがにS&P500は6月16日の安値から16.7%ほど駆け足で上がってきたため、この辺りで一休みするのではないかと思います。むしろ一休みした方が良いと思います。その方が今後上昇を継続するために良いと考えているからです。
テクニカルには、S&P500の上値抵抗線は4,308と残すところ後20ポイント程度ですが、こちらを抜けてそのレベルをキープできるかがポイントで、その後は4,512を抜けるかに注目したいと思います。一方、下値抵抗線は3,946―3,910、そこを切ると3,810となっています。
今週の注目イベント
今週の米国市場では、8月16日に世界最大の小売店であるウォルマート(WMT)やホームセンター世界最大手のホームデポ(HD)の決算発表が予定されています。これらの企業の決算発表によって、直近の米国の消費者動向が見えてくると思います。