東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて続伸となりました。189円高の27,930円で寄り付いた日経平均は取引開始から30分余りで263円高の28,005円まで上昇しましたが、節目の28,000円を上回ったところで伸び悩むと10時50分前に132円高の27,874円まで上げ幅を縮め150円高の27,892円で前場を終えました。160円高の27,902円でスタートした後場の日経平均は12時50分前に128円高の27,870円まで上げ幅を縮めた後14時40分前に197円高の27,939円を付けるなど27,900円近辺で推移すると結局190円高の27,932円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に下落となりましたが、新興株は高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

第1四半期は減益ながら市場予想を上回ったことで大きく上げる銘柄がみられました。住友電気工業(5802)は中国・上海のロックダウンに伴う自動車減産が響き主要部品であるワイヤハーネスの販売が減少したことや原材料価格、物流費の高騰もあり第1四半期の営業利益が前年同期比で34.4%減となりましたが市場予想を上回ったことで6.0%高となりました。カシオ計算機(6952)も中国・上海のロックダウンにより中国で時計の需要が落ち込んだことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で16.9%減となったものの市場予想を上回ったことで6.3%高となっています。ぐるなび(2440)も11.2%高となりました。第1四半期決算を発表し、コストの効率的な運用の徹底等により広告宣伝・販促費や業務委託費、外注費などの費用が計画を下回ったことから通期の営業損益を上方修正し赤字が縮小する見通しとなったことで買いを集めました。

一方で取引時間中の13時25分に第1四半期決算を発表したトヨタ(7203)が3.0%安となりました。鉄やアルミといった原材料費や輸送費の高騰の影響で第1四半期の営業利益が前年同期比で42.0%減となったことで決算発表直後に下げ幅を広げました。JFEホールディングス(5411)も4.1%安となりました。第1四半期決算を発表し、急速な円安進行で鉄鋼原料の輸入価格が高騰することが重荷となり通期の純利益が前期比で51.4%減となる見通しを公表し市場予想も下回ったことで売りが膨らみました。ヤフーやLINEを傘下に持つZホールディングス(4689)もデジタル広告の伸びが鈍るなか販売管理費が増えたことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で3.2%減となったことで11.0%安となったほか、オリックス(8591)も保険事業で新型コロナウイルス関連の給付金の支払いが増加したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で18.3%減となったことで4.8%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は190円高となりました。米国市場が非製造業の景況感改善を好感した買いで3日ぶりに大幅反発となったことで買いが優勢となりました。しかし、節目の28,000円をわずかに上回ったところでは伸び悩みました。先週から何度か28,000円の回復に失敗していることから28,000円近辺での上値の重さが改めて意識されそうで、明日は米雇用統計の発表を控え様子見になりやすいなかで28,000円を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後に日本製鉄(5401)やニコン(7731)、三井不動産(8801)、ソフトバンク(9434)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数と6月の米貿易収支が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)