韓国の教育産業を牽引するメガスタディ・エデュ社

韓国人が教育に熱心なことは、世界的に有名です。日本でも毎年テレビのニュース番組で放送されていますが、受験日当日は、国民全員が受験生のサポートをする意気込みでいます。特に、パトカーや白バイが受験生を受験会場まで届けるシーンは有名です。

また実際に、毎年11月、大学修学能力試験(日本の大学入試共通テストにあたる)が行われる試験日当日は、株式市場や外為市場の取引開始時間が特別に1時間繰り下げられ、午前10時からの開始になります。それほど、試験日当日は、韓国の人々にとって特別な日なのです。

当然、この教育熱を背景に、韓国の教育産業も拡大しています。特に、インターネットでの配信に力を入れて急成長しているのが、メガスタディ・エデュ社です。

同社は、大学進学塾としては、市場シェア約50%を誇る韓国最大の進学学習塾です。2000年当初は校舎を構えて授業を行う、いわゆる一般的な大手進学塾でした。その後2005年から、オンライン授業をスタートし、強固なITネットワークを備え、オフライン、オンラインともに業界No1の塾になりました。

特に、コロナ禍においてオンライン授業ができるという優位性は、同社を圧倒的な地位に押し上げました。また、昨今の韓国の共稼ぎ夫婦や1人っ子といった新しい生活スタイルや新しい家族構成が教育費増加の後押しをしています。

今では、同社は大学受験のみならず、小学生、中学生、また社会人の資格取得に至るまで、事業領域を拡大して成長しています。さらに、受験市場で構築した高い信頼感をもとに、今後VRやARといった新しい技術を活用したオンライン教育における競争でも、同業他社を突き放していくと思われます。

【図表】メガスタディ・エデュ社の売上推移
出所:メガスタディ・エデュ社開示資料よりスパークス作成

幼少期からの英語教育は必須。高い英語力が海外ビジネス発展の原動力に

韓国企業は海外進出に積極的で、また多くの業界で成功を収めています。成功には様々な要因がありますが、大きな要因の1つとしては、幼少期からの語学教育で培った、韓国ビジネスマンの高い英語力があります。

現在、韓国の若者の英語力は非常に高く、金融業界やIT業界への就職を希望する大学生が面接で提出するTOEICスコアは、多くの学生が900点を大きく超えています。その背景として、韓国の一定水準の収入を上回る家庭では、幼児期から積極的に英語教育に取り組んでいることがあります。

具体的には、月額20~30万円を超えるインターナショナル幼稚園に3年間通わせ、小学生に上がる前に英語を完全に習得させてしまうという教育スタイルです。また、2000年代後半からは、子供の英語教育のため、母と子供で小学生のうちに英語圏に移住するという教育スタイルも、富裕層では当たり前の光景となりました。

このような教育熱心な親の子弟たちが、韓国のIT業界やエンタメ業界などに入社し、海外ビジネスを展開しているのです。彼らの高等教育への投資が続く限り、韓国企業の海外進出は様々な業界に拡大し、グローバルな活躍が当面続くと思われます。


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