先週の中国本土市場は、政策期待で株価が反発した先々週に対し、具体的な景気支援、金融緩和政策が出てくる機運が後退したことから大きく反落となりました。先々週に発表されたほとんどの経済指標が予想を下回った上、今週は中国商務省の報道官が中国の輸出環境が下半期に一段と悪化する公算が大きいと語ったこと、15日に温家宝首相が中国経済は依然として下振れ圧力に直面しており、経済困難がしばらくの間、続く可能性があると語ったことなどが市場心理を悪化させました。
また、8月も後半に突入しましたが、中国では10月に共産党大会で政権交代が予定されているため、現政権では積極的な政策が採られにくいだろうとの見方も拡がっています。一方、香港市場の中国株の下落は限定的でした。こちらでは、今月末に中国人民銀行が預金準備率を引き下げるとの予想が相場を下支えしたようです。実際のところ、15日には温家宝首相が「金融政策の余地が拡大している」とコメントしています。いずれにしても現在は次の政策待ちという状況です。
個別企業については、2012年上半期決算発表が続いています。全体的には中国経済のスローダウンや人件費・コストの上昇によって、大手企業の決算は小幅な伸びに留まっているところが多いように思います。たとえば、携帯電話最大手の中国移動(00941)の純利益は前年同期比1.5%増益の622億200万元、青島ビール(00168)は1.8%増益の10億741万元といった具合です。また、資源株についても商品価格の下落で、思わしくない決算が多いところが目立ちます。たとえば、アルミニウム最大手、中国アルミ(02600)の上半期決算(未監査)は32億5000万元の赤字(前年同期は4億1300万元の黒字)、最大手金鉱企業の紫金鉱業が20.0%減益の23億8471万元といった具合です。
しかしながら好調な上半期決算を発表している企業もあります。たとえば、利益ベースで不動産最大手中国海外発展(00688)は前年同期比17.7%増益の83億8000万香港ドルであり、しかも2012年通期の販売金額の目標を年初の800億香港ドルから1000億香港ドルに引き上げています。また、大手銀行の招商銀行(03968)は25.7%増益の233億7600万元、インターネット最大手のテンセント(00700)の第2四半期の業績も32.0%増益の31億元となっています。この地合の中、好決算を出してくる企業は下半期も引き続き強い業績となる可能性が高いと思われ、今後の株価上昇も期待できるため、注目できると思います。