モトリーフール米国本社 – 2022年7月26日 投稿記事より
主なポイント
・エンターテインメントの巨人はパンデミックの初期に配当を停止
・平常が戻れば配当を再開すると表明
・配当重視の投資家であれば、より良い別の選択肢もあり得る
業績は回復しているが、配当はついてくるか?
優れた配当株かどうかを判断する際、私はいくつかの基本的な質問を自問してみます。1つ目は、その企業は長期にわたって配当を支払ってきたか。2つ目は、定期的に配当を引き上げてきたか。そして最後に、増配を継続する力があるか、です。
ウォルト・ディズニーは、パンデミック初期の2020年5月に配当を停止し、その後復配していません。テーマパークやその他の事業に生じた不確実性を考えれば、配当停止の決断は当時としては理解できるものでしたが、ここにきて、ディズニーが優れた配当銘柄に返り咲くことができるかどうかを確認する良い時期に来ています。
メディア帝国
ディズニー帝国は多岐にわたり、ABC、ディズニー・チャンネル、ESPNなどのネットワーク、ディズニープラスをはじめとするストリーミングサービス、映画スタジオ、テーマパークといった価値の高い事業を幅広く抱えています。
事業の総合力を示す証として、同社の年度上半期(2022年4月2日まで)の売上高は前年同期比29%増の411億ドルでした。調整後の希薄化後1株当たり利益(EPS)は、同期間に2倍近くに増加して2.14ドルとなったことからも、新型コロナウイルスの感染拡大によって業績が悪化した前年度からの回復の早さが分かります。
ディズニーは見通しも良好です。人気映画の続編の公開を控えている他、パークの客単価といった他の指標も改善しています。ストリーミング事業も好調を維持しています。第2四半期のディズニープラスの有料会員数は、前年同期比33%増の1億3,770万人となりました。これは、競争が激化している中での偉業です。例えば、競合のネットフリックス(NFLX)の会員数は、2022年第1四半期の20万人の純減に続き、第2四半期にも100万人近く減少しました。
ディズニーのフリーキャッシュフローについては、季節性を排除するために通期で捉えるのが良さそうです。昨年は、外出規制や経済活動停止が業績への打撃となりましたが、約20億ドルのフリーキャッシュフローを生み出しました。とはいえ、前年の36億ドルからは減少しています。
配当再開の予定はあるか?
2020年に取締役会が配当停止を決定する前、ディズニーは半年ごとに配当を支払っていました。定期的に増配してきた実績もあります。2012年の年間配当金は0.75ドルでしたが、配当を停止する直前は年間1.76ドルでした。
ディズニーは以前、「長期的に、配当は当社の資本配分戦略の一部であり続けるでしょう」と述べています。しかし、「より正常な環境に戻るまで」配当は再開しない見通しです。
同社には、投資家が間違いなく魅力的と感じるであろう、優れた特性が備わっています。売上高や利益成長を牽引してきた、素晴らしい資産もその一部です。しかし、配当再開の日程が決まっておらず、近いうちに復配するとの表明もされていないことから、インカムを求めるのであれば、別の優れた配当銘柄を探すのが良いかもしれません。
他の銘柄を探すなら
別の優れた配当銘柄を探すのであれば、まずはS&P500指数構成銘柄のうち25年以上連続で増配している「配当貴族」銘柄から始めてみるのはいかがでしょうか。もっと絞り込むなら、さらなるエリート集団である「配当王」という銘柄群もあります。これはS&P500指数構成銘柄の中で、50年以上の連続増配記録のある企業を指します。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。
元記事の筆者Lawrence Rothman(CFA協会認定証券アナリスト)は、記載されているどの銘柄にもポジションを保有していません。モトリーフール米国本社はネットフリックスおおびウォルト・ディズニーの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは、以下のオプションを推奨しています。ウォルト・ディズニーの2024年1月満期の145ドルコールのロング、ウォルト・ディズニーの2024年1月満期の155ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。