前回のコラムでは「5日移動平均線上を維持できずに割り込んだり、5日移動平均線が下向きに変化したりするようですと、6月24日と27日にあけた窓を埋めたり、6月20日の安値を下回って3月15日と16日の間にあけた窓を埋めることも視野に入ってくると思われます」と解説しました。
実際のところは、上向きの5日移動平均線上を維持できずに6月30日に5日移動平均線を割り込むと、5日移動平均線が下向きに変化してしまいました。また翌営業日の7月1日も大幅続落となり、ついに26,000円を割り込んで終える結果となっています。
一方、今週7月4日に反発に転じると7月5日には窓をあけて上昇し、下向きの5日移動平均線を上回って終えているのが分かります。
ただし、下向きの5日移動平均線を上回ってもトレンドが転換したとは言えない状況です。なぜなら、これまで解説したグランビルの法則によれば、下向きの移動平均線を上回った場面は「売りのサイン」とされているからです。
2021年9月以降、日経平均の日足チャートを見てみると、2022年1月に75日移動平均線が下向きに変化してから上回る場面が何度かありましたが、高値をつけた後に反落して安値をつける展開となっており、75日移動平均線を上回っても維持できておらず、逆に売り場となっているのが分かります。
このように下向きの中長期の移動平均線を上回っても維持できない場合は、その後売り圧力が強まって下降トレンドが継続することになるため、リバウンド狙いの買いは注意が必要と考えられるのです。
窓埋め後の値動きに要注意
今回発生した窓の種類は、過去の値幅の範囲内で発生していることから、コモンギャップ(=普通の窓)だと思われます。そのため直ぐに埋めてしまうことが予想されます。
仮に直ぐに埋めてしまうようですと、これまで以上に警戒が必要になるかもしれません。なぜなら、7月5日現在、上向きに変化している75日移動平均線ですが、7月6日以降に下向きに変化する可能性が高いからです。
例えば、7月5日現在の75営業日前の日経平均株価は3月15日の25,762円ですが、翌6日になると、3月15日の株価が捨てられ、3月17日の26,652円が75日前となります。
このように毎日入れ替えが繰り返されると、7月5日以降の終値水準が、75営業日前の上昇の時と同じように株価水準を切り上げることができなければ、高い値と低い値が入れ替わることになるため、再び75日移動平均線が下向きに変化し、既に下向きに変化している25日移動平均線と一緒に上値の抵抗になることが考えられるのです。
そうなると、6月20日の終値を割り込んだり、前回のコラムで解説したように3月15日と16日の間にあけた窓を埋めたりする可能性がより高まると言えるのです。
したがって、今回窓を埋めずに5日移動平均線上を維持したり、再び75日移動平均線と25日移動平均線を上回って維持したりするようですと、株価の底入れ期待が高まることになります。
その反面、埋めてしまうと同時に5日移動平均線が上値の抵抗になってしまうようですと、6月20日の安値を下回って3月15日と16日の間にあけた窓を埋めることも考えられるため、これまで以上にリバウンド狙いの買いは控える必要があると思われます。
株価が安くなると値ごろ感から買いたくなるところですが、引き続き慎重に対応したいところです。