中国物流購買連合会と国家統計局が発表した7月の中国公式の製造業景況指数(PMI)は50.1となり、6月の実績である50.2と市場平均予想であった50.4をいずれも下回りました。一方、中小企業からの回答が多いHSBCによる7月のPMI(確報値)は49.3と、6月の48.2から改善しています。これらの数字は中国経済の足踏み感を示すものです。また、7月31日には温家宝首相が中国経済情勢について「中国経済は比較的大きな下振れ圧力に直面している」と改めて延べたと国営の新華社通信が伝えました。温家宝首相は成長を確保するためにさらなる「微調整」措置を計画していることにも言及。この発言を受け、インフラ・建設プロジェクト関連セクターが上昇し、上海総合指数は先週半ばにようやく下げ止まって、週末より反発しています。
今後の大きな転換点の1つになりそうなのが、8月下旬に発表予定となっている中国大手銀行株の2012年上半期決算です。本土市場でも割安感が出てきた大型金融株に注目している投資家も増えてきており、上半期の決算が良い数字であれば時価総額の大きな銀行株の反発開始というシナリオもありえると思います。また、注目すべきコメントとして、中国本土最大の資産運用会社である華夏基金の取締役が、今年の下半期には中国の景気刺激策の効果が本格的に表れ、中国本土A株市場は近く底入れするであろうと発言しています。また同氏は、中国本土A株市場のPERは約11倍で過去最低の10倍に迫っており、投資妙味があることを示す1つのサインになっているとも述べています。
セクター別では不動産株が軟調となりました。7月の中国主要100都市の平均住宅価格が前月比ベースで2ヶ月連続して上昇したことから、中国政府が不動産投機を抑制する規制策を発表するのではないかと懸念されました。温家宝首相も前述の報道の中で「不動産規制策を断固として実施し、不動産価格の反発を防ぐ」と述べたとあります。その他、陝西省の省都、西安市が渋滞や大気汚染の緩和に向けて北京市など、他の大都市と同じような自動車購入に関する規制策を計画していることが報じられ自動車セクターも安くなりました。