東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて大幅反落となりました。443円安の25,988円と節目の26,000円を割り込んで寄り付いた日経平均は直後に710円安の25,720円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に下げ幅を縮めると572円安の25,858円で前場を終えました。さらに下げ幅を縮め435円安の25,995円でスタートした後場の日経平均は節目の26,000円を回復し14時30分前に358円安の26,072円まで持ち直しましたが、26,000円を上回ったところでは上値が重く引けにかけてやや下げ幅を広げ26,000円を下回ると結局468円安の25,963円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

世界的な金融引き締めによる景気の減速で自動車の販売が伸び悩むとの懸念や一時132円台まで円高が進んだことで自動車株が安く、なかでも中国・上海のロックダウンの影響が解除後も残り6月の世界生産台数を80万台程度から75万台程度に引き下げると発表したトヨタ(7203)が3.6%安となったほか、日産(7201)も4.2%安となりました。

また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が6%以上下げ下落率が今年最大となったことで日本市場でも半導体関連株が安く、東京エレクトロン(8035)が5.0%安、レーザーテック(6920)が8.2%安、アドバンテスト(6857)が4.1%安、ディスコ(6146)が3.1%安、信越化学工業(4063)が5.0%安、SUMCO(3436)も5.9%安となり、東京エレクトロンとレーザーテック、アドバンテストは年初来安値を更新しています。

一方で格安航空チケット販売のエアトリ(6191)が4.8%高となりました。まん延防止等重点措置等が全面解除され国内旅行の売り上げが伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを20億円から26億円に上方修正したことで買いが優勢となりました。さらに投資判断と目標株価の引き上げを受けて買われたのが東レ(3402)やファナック(6954)で東レが一時3.3%高となり年初来高値を更新し、ファナックも一時3.2%高となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は468円安となりました。米連邦準備理事会(FRB)が大幅な利上げを決めたのに続いてスイスと英国の中央銀行も利上げに動くなか主要中銀の相次ぐ金融引き締めが世界景気の悪化を招くとの警戒感が広がり昨日の米国市場が大幅反落となり、主要3指数が揃って年初来安値を更新したことで大幅安となりました。下げ幅を大きく広げ一時は700円以上下落しましたが、欧米の金融引き締めを受けて日銀も金融政策を変更するのではとの観測が一部で浮上するなか日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めたこともあって後場に入るとやや下げ渋り節目の26,000円を回復する場面もありました。しかし、26,000円を上回ったところでは上値が重く26,000円を小幅に下回って取引を終えています。そのため下値への警戒感が一段と意識されそうですが、昨日の反発を挟んでこの6日間で2,300円近くも下げていることから週明け以降の反発に期待したいところです。

なお、日本時間の21時45分からパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が行われるほか、22時15分には5月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が、そして23時には5月の米景気先行指標総合指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)