前回のコラムでは「200日移動平均線上を維持できるかが今後の株価動向を探る重要なカギになる」と解説しました。また、「200日移動平均線上を維持できずに割り込むようですと、グランビルの法則の売りシグナルが発生することになり、一旦利益を確定することが必要になる」とも解説しましたが、まさにその通りの展開となりました。

特に5日移動平均線と200日移動平均線を同時に下回った6月10日時点で利益確定の売り注文を出して返済しておかなかった投資家は、利益が減少したか、損失が発生したり、拡大したりしているのではないかと思われます。

今回の結果は、古くから使われている典型的なグランビルの法則の売りパターンに当てはまったことになります。

きっとこのコラムを読まれた投資家は、200日移動平均線を割り込んだ時点で行動を起こすことができたのではないか考えています。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

新たに発生した窓の種類は何か?

さて、先週の6月8日から今週14日までの間に、このような激しい値動きになってしまったわけですが、今回の大幅な反落で新たに3つの窓が連続して発生する結果となっているのが分かります。

また窓が3つ連続して発生することを、「三空(サンクウ)」と呼んでいますが、この「三空」は、相場の格言で「三空には買いむかえ」と言うものがあります。

これは、酒田五法と言われる古典的なテクニカル分析に使われているものですが、窓が3つ発生した場合、買いポジションを持っている投資家の投げ売りなどが出て、売りが出尽くすと想定されることから底入れする可能性が高いと考え、買いを入れるチャンスとされています。

では、本当にそうなのかを考えるために、今回発生した窓の種類を考えてみたいと思います。みなさんは、今回発生した3つの窓はどの種類の窓だと思いますか?

私は、これらの窓はすべてコモンギャップ(=普通の窓)だと考えています。理由は、過去の値幅の範囲内で発生しているからです。

コモンギャップだった場合、もちろん埋める可能性があるわけですが、3つ目の窓で下げ止まって相場が反転するかどうかは慎重に判断する必要があるのではないかと考えています。
また「三空」が発生した場合に、買い向かう条件として必要と考えられるのが、エグゾーションギャップ(=消耗する窓)の存在です。

エグゾーションギャップとは、上昇や下落の勢いが最終段階にあり、エネルギーが出尽くした状態で発生する窓のことを言います。

そのため、高値圏や安値圏で発生したときに相場の反転を判断することができるわけですが、今回発生した3つ目の窓は、安値圏ではなく、5月12日につけた安値から6月9日につけた高値までの値幅の範囲内で発生した窓であり、下落のエネルギーが出尽くした窓とは言えないのではないでしょうか。

仮にエグゾーションギャップではなかった場合、5日移動平均線を下回って短期的な下降トレンドが発生しているなか、まだ下落が続く可能性があると考えられます。

今後の展開は?

最後に今後の展開についてですが、仮に3つ目の窓がエグゾーションギャップではなくコモンギャップだった場合、下落の継続が考えられます。

その場合に注目すべき点は、下向きに変化した5日移動平均線を上回ることができるか、になります。

仮に反発しても5日移動平均線に押し返される状況が続くようですと、下落が続いたり、さらに窓が発生したりすることが予想されます。

一方で、5日移動平均線上を回復するようですと、一旦下回った75日移動平均線や25日移動平均線に接近したり、今回発生した窓を埋めたりすることも視野に入ってくると思われますので、次回のコラムでは検証を含めて解説したいと思います。