今週は主要国で金融政策の会合が集中する。中でも最大の注目は 14~15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)であることは言うまでもない。今回のFOMCでの政策決定については0.50%の利上げは既に織り込み済み。市場の関心は政策金利見通し(ドットチャート)で示される9月以降の利上げペースの行方に向かっている。先週末に発表された5月のCPIは前年同月比が市場予想を上回る8.6%と伸びが再加速した。そのため0.50%の利上げが6、7月で終わらず年後半も続くとの警戒感が高まっている。
今回のFOMCで0.75%の利上げ観測も一部で台頭しているが、それはないだろう。たしかにCPIのヘッドラインは衝撃が大きかったが、コアはそれほどでもない。コアCPIの前年同月比は3月につけた6.5%をピークに、4月は6.2%、そして今回発表された5月は6.0%と2カ月連続で伸びが鈍化し、「インフレは3月がピーク」との見方を根本から覆すには至っていない。市場の反応は過剰だったが、FRBは冷静な判断をするだろう。
続く16日には英国で金融政策委員会が、そして日本でも日銀金融政策決定会合が開催される。黒田総裁が金融緩和を続ける姿勢を強調していることから日銀の政策変更は考えられないが、会合後の会見で円安やインフレに関する総裁のコメントに注目が集まる。
その他の指標では13日に4-6月期法人企業景気予測調査、14日に米国の5月生産者物価指数、15日に日本では機械受注、中国では鉱工業生産や小売売上高など。米国でも小売売上高の発表がある。
先週後半に米国株は大きく崩れた。それを受けて週明けの日本株も売りが先行、日経平均は2万7000円台前半まで下落しそうだが、ストラテジーレポートに書いた通り、日本株は相対的に優位な要素があるので、下値では押し目買いが入ってもおかしくない状況だ。ただ、FOMCを控えて動けない投資家も多いだろう。押し目買い意欲か、様子見機運か、その綱引きとなりそうだ。それゆえ今週の前半は日本株の底堅さを確かめる試金石となる。