東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて小幅に反落となりました。117円安の27,340円で寄り付いた日経平均は取引開始から30分余りで206円安の27,251円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと10時50分過ぎに31円安の27,426円まで戻し46円安の27,411円で前場を終えました。12円安の27,445円でスタートした後場の日経平均は直後に7円安の27,450円まで持ち直しましたが、戻し切れないと下げ幅を広げ14時20分前には85円安の27,372円まで下落しました。しかし、引けにかけて下げ幅を縮めると結局44円安の27,413円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

関西ペイント(4613)が10.5%高となりました。アフリカの子会社2社をオランダの同業大手アクゾ・ノーベルに計4億5000万ドルで2023年内に売却し景気減速や通貨安などを受けて赤字が続いていたアフリカ事業から撤退すると発表したことや、売却で得られる資金を自社株買いに充てるとしたこともあって買いを集めました。中国電力(9504)も一時5.9%高となりました。島根県の丸山達也知事が中国電の島根原子力発電所2号機の再稼働に同意すると表明したことが材料視されました。第3四半期決算を発表したオフィス家具やコンピューター商社大手の内田洋行(8057)も8.0%高となりました。学校教育に情報通信技術(ICT)を取り入れる政府のGIGAスクール構想関連で追加案件を受注したことなどから通期の営業利益の見通しを53億円から63億円に引き上げたことで買いを集めました。

松屋(8237)も8.2%高となり年初来高値を更新しました。銀座本店の5月の売上高が化粧品やラグジュアリーブランドが好調で前年同月比で95.0%増と高い伸びとなったことが好感されました。エイチ・ツー・オー リテイリング(8242)も阪急阪神百貨店の5月の売上高が前年同月比で約3倍となったことで5.3%高となり年初来高値を更新しています。東証スタンダード市場ではワークマン(7564)も7.1%高となりました。5月の大型連休に合わせてキャンプ用品の売り上げが好調だったことや、気温上昇により半袖Tシャツの売り上げも堅調だったことなどから5月の国内の既存店売上高が前年同月比2.3%増と前年を上回ったことで大幅高となりました。

一方で本決算を発表した伊藤園(2593)が7.1%安となりました。2022年4月期の営業利益は前期比で12.7%増となりましたが、第4四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で24.9%減となり5四半期ぶりに減益に転じたことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は44円安となりました。昨日の米国市場が米長期金利の上昇を嫌気して続落となったことで売りが優勢となりました。しかし、一時は200円以上下落しましたが、5日移動平均線(27,260円)をサポートに切り返すと持ち直しました。下げ渋ったことから大幅高となった月曜日の堅調さを維持しているといえそうですが、米雇用統計の発表を控え様子見となりやすい明日も引き続きこうした地合いを保てるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の21時15分に5月のADP全米雇用リポートが発表されるほか、21時30分には米新規失業保険申請件数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)