モトリーフール米国本社、2022年5月24日 投稿記事より
主なポイント
・バークシャー・ハサウェイは、エネルギー、エンターテインメント、金融を含む新たな銘柄を購入
・マケッソンは、力強い事業見通しとバリュエーションから特に魅力的
・マーケルは多くの点でバークシャーと似ているが、投資先はグロース株の比重が高い
伝説の投資家は、2022年第1四半期の銘柄購入に貪欲
ウォーレン・バフェット氏の名言の1つに、「他人が貪欲な時は慎重に、慎重な時は貪欲に」というものがあります。最近のバフェット氏はこの言葉を自ら実践しているようです。株式市場の急落に多くの投資家が恐れる中、バフェット氏はお気に入り企業の株式を貪欲に買っています。
バークシャー・ハサウェイ(BRK.A、BRK.B)が当局に提出した最新の報告書によると、同社は2022年第1四半期に新たに8銘柄を購入しました。その中でも、特に優れた銘柄を紹介します。
バフェット氏が購入した全ての新規銘柄
まず、実際のところバフェット氏は第1四半期に15社の株式を購入しました。そのうち7銘柄は以前から保有していた銘柄の買い増しで、新たにポートフォリオに追加されたのは、以下の8銘柄です。
これらの銘柄のほとんどはバフェット氏の得意分野に当たります。同氏は最近、エネルギー銘柄を強く選好しているため、石油・ガス企業のオクシデンタル・ペトロリアムの株式を新規で大量に購入したのは意外ではありません。また、同氏は金融サービス業界もお気に入りで、アライ・フィナンシャルとシティグループはまさに、同氏が以前選好していた代表的な金融銘柄です。
HP株の購入は、バフェット氏が数年前にIBM株を購入したことを想起させます。IBM株購入の決断はさほど良い結果につながりませんでしたが、HP株の購入が利益を生む可能性はあります。
やや意外だったのは、メディア企業パラマウント・グローバルの購入でしょう。とはいえ、バフェット氏は以前にも、エンターテインメント業界の株式を購入したことがあります。ヘルスケアセクターも保有経験があるため、医薬品卸企業のマケッソンも驚く選択ではありません。化学品メーカーのセラニーズは資本財企業として、バークシャーのポートフォリオでは決して珍しくない業種です。
そして、マーケルは「ミニ・バークシャー」とも呼ばれる企業で、バークシャーと同様に保険事業を手掛けています。バークシャーと同様に他の企業への投資もしていて、バークシャーはマーケルの保有上位銘柄の1つでもあります。
新規8社の中でも、特に選りすぐりの2銘柄とは
では、この新規8社の中でも特に選りすぐりの銘柄はどれでしょうか。年初来パフォーマンスで公正に判断すると、オクシデンタルが明らかな勝者です。株価は年初来で約120%と、驚異的な上昇を遂げています。
しかし、バフェット氏やバークシャーの投資担当者は、短期的なパフォーマンスで判断したわけではありません。実際に、バークシャーのポートフォリオに新たに加わった銘柄の半分は、株価が年初来で下落しています。
バフェット氏は、各社の長期的な事業見通しとバリュエーションに着目することを推奨しています。こうした基準に基づくと、今回の新規銘柄の中で次の2社が特に際立っています。
マケッソンのビジネスモデルは持続可能です。同社は処方薬や医療・手術用品などを販売しています。処方に関する技術的サービスも提供しています。人口の高齢化は今後数年にわたり、マケッソンにとって大きな追い風となるはずです。
株価のバリュエーションは、予想株価収益率(PER)14倍未満と魅力的な水準です。年初来で株価は30%以上上昇しており、バフェット氏の保有銘柄の中で年初来のベストパフォーマンス銘柄の1つであることを考えると、驚くほどのバリュエーションです。
マーケルは「ミニ・バークシャー」と呼ぶにふさわしい企業ですが、独自のニッチな分野も持っています。一般的な保険会社では扱えないようなリスクを持つ顧客向けに、特殊保険を提供しています。
バークシャーと同様に、マーケルも再保険事業を手掛けています。これらの事業は多額のキャッシュフローを生み出し、同社はそれを他の上場企業に投資することで運用しているのです。しかし、マーケルのポートフォリオはバークシャーのポートフォリオと比べると、グロース銘柄に偏っています。
予想PERに基づくとS&P500指数よりもわずかに割高ですが、成長見通しを考慮するとPEGレシオ(PER÷1株当たり利益成長率)はわずか0.91であり、マーケルはお買い得に見えます。
バフェット氏のように考える
バフェット氏が最近購入した中で、筆者はマケッソンとマーケルを選好しますが、他の銘柄を好む人もいるかもしれません。あるいは、バフェット氏の購入銘柄に見向きもしない人もいるかもしれません。それもありでしょう。
しかし、投資家であれば、バフェット氏と同じ考え方を持つべきです。他人の恐怖やパニックに怖気づいてチャンスを見つけるのを止めてはいけません。バフェット氏と同じ銘柄を買うかどうかは別として、バフェット氏のような考え方をすれば、長期的にはきっと成功するはずです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。シティグループは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。アライ・フィナンシャルは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Keith Speightsは、バークシャー・ハサウェイの株式(クラスB)を保有しています。モトリーフール米国本社はバークシャー・ハサウェイ(クラスB)、HP、マーケルの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールはマケッソンを推奨し、以下のオプションを推奨しています。バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の200ドルコールのロング、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の200ドルプットのショート、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の265ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。