2022年に入ってから、株式市場は世界的に軟調な動きとなっています。2021年までマーケットを牽引してきた米国のGAFAMに代表される成長株は割高感から下落し、相場全体を押し下げる要因となっています。

金融引き締めが続けば株式マーケットにはマイナス

株価を下落させている最も大きな要因は、言うまでもなく金融政策の引き締めへの転換です。米連邦準備制度理事会(FRB)は、利上げとともに流動性供給も減らし始めることを決めました。

欧州中央銀行(ECB)もインフレ懸念から米国に追随する政策を取ろうとしています。

今後各エリアでどの程度政策金利が上昇するかはインフレ次第ですが、金利上昇は株価にとってマイナスの影響となることは確実です。

金利のピークアウトが見えるまでは、株式マーケットに対して警戒的なスタンスで臨むべきだと考えています。

グロース株が良いか、バリュー株が良いかは後からしかわからない

ここにきて注目されているのは、配当利回りが高いいわゆるバリュー株です。成長性の高いハイテク株のような株式が大きく売られている中で、相対的に安定した利回りが期待できることで注目されています。

しかし、グロース株とバリュー株のどちらが魅力的なのかは、マーケット環境によって変わってきます。再びバリュー株が割高になれば、グロース株に資金が流れる可能性も出てきます。

明らかなことは、どちらが良いかは、事後にならないとわからないということです。

個別銘柄で集中投資はリスクが高すぎる

また個別銘柄に集中投資をしている投資家の中には、短期的に大きな損失を出している人も少なくありません。これは個人投資家だけではなくプロの機関投資家も同じです。

例えば老舗ヘッジファンドとして知られるタイガー・グローバル・マネジメントは2022年に入ってから運用成績の不振により、資産額が四半期で約4割減ったとされています。

また創造的イノベーションをテーマにテクノロジー株への集中投資を行ってきたキャシーウッド率いるアーク・インベストメント・マネジメントの「アーク・イノベーションETF」の価格は2021年末から5割以上下落しています。

マーケットの上昇時には運用パフォーマンスが好評だったグロース株の集中投資は、現在一転して厳しい投資環境に置かれています。

銘柄選択と投資タイミングは考えない方が良い

銘柄選択は短期的にはうまくいくことがあっても、長期的には物色される銘柄が変わっていくため、収益を長期で安定的に確保することは簡単ではありません。

また、タイミングを考えてマーケットの底値で買って高値で売ることができれば理想的ですが、こちらもその運用成果は事後にならないとわかりません。

つまり、金融マーケットにおいて株式の銘柄選択や投資タイミングを考える事は、あまり合理的とは言えないのです。

私は分析しても運用成績が向上しないのであれば、銘柄選択や投資タイミングに時間と労力を割くのはもったいないと考えています。

インデックスファンドの積み立てが最も合理的な株式投資法

2022年5月の日本経済新聞で、1970年2月から2022年3月までという50年以上の先進国株式インデックスのデータを使った運用成績が紹介されていました。

データが取得できる過去50年の中から任意の20年間を取り出して、各々のリターンがどのようになったかを検証したものです。使ったデータは、世界先進国株指数(MSCI WORLD、配当込み、円ベース)と呼ばれる先進国の株式のインデックスを円貨換算したものです。

それによると、最も成績が良かった期間は、1978年8月から1998年7月までの20年間で運用リターンは年率13.4%と10%を超える高いものでした。

逆に最も低かったのは、1989年2月から2009年1月までで年率2.8%です。そして、平均すると年率7.3%という結果になりました。

つまり、先進国株式インデックスを20年間保有していれば、今まで一度もマイナスにならなかったということです。最悪のタイミングで始めたとしても、年率2.8%のリターンが得られたというのは長期投資の有効性を示唆する結果です。

世界株式インデックスに20年間積立投資するのが勝率の高い株式投資法

過去のデータが将来を保証する訳ではありません。しかし、過去にブラックマンデーやリーマンショックといった株式市場の大変動があっても、このような結果が出ていることは株式市場が経済成長による恩恵を長期で受ける投資であることを示しています。

これから投資をするのであれば、相場の底と頂点を当てにいくのではなく、なるべく幅広い投資対象に長期で資金を投じるのが合理的と言えます。

タイミングを考えない投資の方が、高値掴みになるリスクを減らし、大きな失敗を防止できます。これは私の過去の経験則による結論です。

だから、株価が下落しているからといって、投資をやめて株式市場から撤退するべきではありません。

むしろ、株価が下落しているからこそ、株式投資をすべきです。そしてその方法は「世界株式のインデックスファンドの積立投資を20年の長期で実践すること」です。