東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて大幅反落となりました。268円安の25,945円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで525円安の25,688円まで下落した後下げ渋ると11時20分過ぎに185円安の26,028円まで持ち直し220円安の25,992円で前場を終えました。277円安の25,935円でスタートした後場の日経平均は再び下げ幅を広げると14時50分過ぎに480円安の25,733円まで下落し結局464円安の25,748円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が6.1%安となり年初来安値を更新しています。
2.個別銘柄等
オリンパス(7733)が11.2%高となりました。主力の内視鏡事業が拡大することなどから2023年3月期の営業利益が前期比で33.9%増の2060億円になる見通しで市場予想を大きく上回ったことから買いを集めました。
また、市場予想を上回る営業利益の見通しを発表した電源開発(9513)や神戸製鋼所(5406)も高く、電源開発はタイや米国など海外で電力販売量が増えることなどから2023年3月期の営業利益が前期比で26.5%増の1100億円となる見通しで市場予想を上回ったことから17.2%高となり年初来高値を更新しました。神戸製鋼所は前期に計上した鉄鋼事業の在庫評価益がなくなることもあって2023年3月期の経常利益が前期比で14.2%減となる見込みですが、市場予想ほど悪化しない見通しとなったことで15.7%高となり年初来高値を更新しています。
13時に決算を発表したSUBARU(7270)も5.9%高となりました。自動車販売台数の増加や円安効果で2023年3月期の営業利益が前期比で2.2倍の2000億円となる見通しで市場予想を上回ったことから決算発表直後に大きく上げ幅を広げました。さらに11時30分に第1四半期決算を発表した日清紡ホールディングス(3105)が4.7%高となりました。自己株式を除く発行済株式総数の7.21%に当たる1200万株と100億円を上限とした自社株買いを発表したことで後場に一段高となりました。
一方で花王(4452)が6.3%安となりました。パーム油などの原材料価格が高騰し採算が悪化したことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で25.8%減と大幅な減益となったことを嫌気した売りが出ました。シャープ(6753)は2023年3月期の業績予想の開示を見送ったことで業績の先行き不透明感を懸念した売りが出て8.2%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は464円安となりました。米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなったことでハイテク株を中心に売りが出て昨日の米国市場で主要3指数が揃って年初来安値を更新したことで売りが優勢となりました。押し目買いが入り下げ渋り節目の26,000円を回復する場面もありましたが、26,000円を上回ったところでは上値が重く後場に入って再び下げ幅を広げ26,000円を下回って取引を終えています。そのため下値への警戒感が意識されますが、昨日の小幅な上昇を挟んでこの4日間で1,200円以上も下げていることから明日以降の自律反発に期待したいところです。なお、決算発表が続いていますが本日も引け後に日産(7201)や東京エレクトロン(8035)、ソフトバンクグループ(9984)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や4月の米卸売物価指数(PPI)が発表される予定で、物価動向に神経質な展開が続いていることから米卸売物価指数に対するマーケットの反応が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)