日銀のファインプレーに拍手を送りたい。昨日から今日にかけて開いた金融政策決定会合で、日銀は大規模緩和の維持を決めた。そのうえで、当面の金融政策運営の項目に「連続指し値オペの運用の明確化」を追加。「明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する」こととした。市場の一部には円安に対応するため日銀が金利の上昇を容認するなど、何らかの政策修正をするのではとの見方があったが、日銀は「真逆」の対応をしてみせた。そうした市場筋の思惑など一刀両断に霧散させるべく、指し値オペを原則、毎営業日実施するという、より強力な運用方法を明確に打ち出した。誠にあっぱれである。
まあ、当然と言えば当然なので、少しほめ過ぎたかもしれない。黒田総裁は22日の米ニューヨークのコロンビア大での講演で「いまの金融緩和を継続する必要がある」と強調していた。スタンスがぶれないところは、やはり立派である。
円安が進んでいるから、それをなんとかするために金融政策を変更するなどあり得ないが、日銀がずっと言い続けているのは、日本の景気が弱いから金融緩和が必要である、という当たり前のことだ。そのような状況で仮に金融政策を引き締めの方向に修正するとすれば、さらに景気が弱くなって、結果的に円売りに拍車がかかるだろう。
また、市場の反応も良かった。為替市場が130円をつけたのはどうでもいいが、日銀のスタンスを好感して株式市場が「買い」で反応したのは、久しぶりに良いアクションだった。
実は、昨日の日経平均もNYダウ800ドル安を受けて大幅安となる場面があったが、後場は下げ幅を縮小した。チャートの形は下ヒゲを引いた陽線で下げ止まりのサインだった。そこに今日の大幅陽線でかなりいい格好になった。
良いこと①:米国株が大幅安でも日本株は下げ渋る。
良いこと②:主要国の金融政策は引き締め方向だが、日本だけは大規模緩和継続である。
良いこと③:決算発表に対するポジティブな反応。昨日のマイクロソフト、時間外のメタの急騰などでGAFAMの決算は無難に乗り越えた。日本もキーエンス(6861)、デンソー(6902)など好決算銘柄が素直に買われる地合いになっている。
GWが明け、FOMC通過でアク抜けすれば、株価は再度、上値を試しにいく展開となるだろう。