先週のS&P500は2.75%の下げ、ナスダック総合は3.83%の下げで終わりました。米国では先週月曜日(4月18日)は確定申告の最終日であり、納税対策の株売りが終了したとみられ、月曜日と火曜日(4月18、19日)は株価の大きなリバウンドが見られました。ただ、木曜日(4月21日)になると米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の今後の利上げについてのタカ派的なコメントを受け、マーケットのセンチメントが悪化し、株価が大きく下落する展開となりました。

企業経営陣によるガイダンスから見えてくる今後の見通し

先週に続き、決算発表後のカンファレンスコールで発表された経営陣によるガイダンスから今後の見通しを紹介したいと思います。

スイミングプール用品等の販売を行っているプール(POOL)のピーター・アルバンCEOによると、「労働市場がタイトであるためプールの取り付け、メンテナンス、修理ができなくなっている」と語りました。ただ、明るい面を挙げるとすれば「サプライチェーンの問題はいくつかの改善が見られる」としています。また、コストの上昇分は価格に転嫁できていると述べています。

テスラ(TSLA)は、複数年に渡って販売台数を年間50%増やす目標を維持しています。一方で、同社にとって過去数期に渡り「サプライチェーンが主な制限要因となっており、この問題は今年いっぱい継続するであろう」と述べました。テスラは3月に全ての製品の値上げを行っています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のジョー・ウォルクCFOは 「特定のコモディティが入手しにくくなっていることや価格の値上がりに加え、賃金、エネルギー、輸送費の値上がりも課題になっている。こういった価格圧力は今年後半も続くと見ている」と語りました。

物流サービス大手のジェイビー・ハント・トランスポート・サービシズ(JBHT)のジョン・クーロウCFOによると、「労働の分野ではプロの運転手や非運転手両方の賃金に引き続きインフレ圧力があるが、このトレンドは今年の年末まで続きそうな勢いである」と述べました。

これらのコメントを聞く限りにおいては、米国企業が見るインフレはまだ続きそうであることがうかがえます。

今週はS&P500の時価総額のほぼ22%を占めるGAFAMの決算発表

今週はGAFAM(GOOGL, AAPL, FB, AMZN, MSFT)5銘柄の決算発表が行われる予定です。この5社は現在のS&P500の時価総額の約22%に相当します。

前回の2021年第4四半期の決算発表の際、事前予想を大きく下回ったメタ・プラットフォームズ(FB)の株価が1日で約26%下落し、30兆円分の時価総額を失ったことは皆さんの記憶に新しいかと思います。その一方で、他の4銘柄については、マーケットの事前予想を上回る決算発表を行い、株価は上昇しました。

このところの株価の下げでGAFAM企業のバリューションは歴史的にみて割安なレベルにあります。果たして、現在の地合いの悪いマーケットの環境で、GAFAM企業がマーケットの事前予想を上回る決算発表を行い、マーケットのセンチメントを変えることができるかに注目です。

アップル(AAPL)については、追加の自社株買いと増配の発表を行うとみられています。

今週、注目の主要企業の決算発表予定は以下の通りです。

4月25日(月)コカコーラ (KO)
4月26日(火)アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、ゼネラルモーターズ(GM)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ビザ(V)
4月27日(水)メタ・プラットフォームズ(FB)、ボーイング(BA)
4月28日(木)アップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)、インテル(INTC)、アルトリア・グループ(MO)、メルク(MRK)
4月29日(金)エクソン・モービル(XOM)、シェブロン(CVX)