モトリーフール米国本社、2022年4月16日投稿記事より

主なポイント

・NVRは株式分割を行ったことがないが、株価は一貫して極めて高水準にある
・シーボードの株価はNVRを僅差で下回る水準だが、同社も株式分割を行ったことがない
・ブッキング・ホールディングスは数年前に株式併合を実施したが、現在の株価は株式分割を行っても妥当な水準にある

これら3銘柄は株式分割の有力候補ですが、すぐに行われるとは限りません。しかし、が、多くの投資家の間で熱が高まっています。とはいえインフルエンザに罹ったわけではなく、アルファベットとアマゾンが原因と思われます。

アルファベット(GOOGL)とアマゾン(AMZN)は2022年に入り、1対20の株式分割を実施すると発表しました。その影響で、多くの投資家が株式分割の熱に浮かされ、次に株式分割を行う可能性のある銘柄を探そうと躍起になっているのです。

バークシャー・ハサウェイ(BRK.A)はリストから除外して良いでしょう。同社のクラスA株は株価が51万8,000ドルに上りますが、ウォーレン・バフェット最高経営責任者(CEO)は株式分割に断固反対しています。その代わり、クラスBでしたら比較的お手頃な株価となっています。

株価が非常に高く、株式分割を検討する可能性のある銘柄は他にもあります。以下では、アルファベットとアマゾンに続いて株式分割が見込まれる有力候補銘柄をご紹介します。

1. NVR(NVR)

米国株式市場に上場している銘柄の中で、バークシャーのクラスA株を除いて株価が最も高いのが、住宅建設会社や住宅ローンを手掛けるNVRで、株価は4,400ドルを上回ります(執筆時点)。

NVRはこれまでも、株式分割の候補リスト上位に常にランクされてきました。株価は過去数十年にわたり、一貫してアルファベットとアマゾンを上回っています。しかし、NVRは上場してから30年近い歴史の中で、一度も株式分割を行ったことがありません。

しかし、次期CEOのユージーン・ブリドー氏は、株式分割に前向きになる可能性があります。ブリドー氏は次の株主総会で、現CEOのポール・サビール氏が取締役会会長に選任された後、NVRの社長兼CEOとして指揮を執る予定です。

NVRにとって金利の上昇は、住宅建設事業と住宅ローン事業の両方にとって悪材料となる可能性があります。マクロ環境が厳しくなることが予想される中、同社は投資家の関心を引く手段として株式分割を考えるかもしれません。

2. シーボード(SEB)

アグリビジネスや輸送事業を手掛けるシーボードの株価もNVRをわずかに下回る程度で、現在は4,150ドル付近にあります。同社の株価は、21世紀の大半で1,000ドルを上回る水準を維持しています。

高水準の株価の他に、NVRとのもう1つの共通点として、シーボードも株式分割を行ったことがありません。

しかし、シーボードの経営陣が株式分割に対する考え方を改めるとはあまり考えられません。2020年7月に就任したロバート・スティアCEOにとって、株式分割はまるで念頭にないようです。

シーボードの経営陣は、事業にプラス寄与する追い風を重視するとみられます。インフレ、特に燃料費の高騰は、同社にとって重要な課題となっています。

3. ブッキング・ホールディングス(BKNG)

オンライン旅行サイトを運営するブッキング・ホールディングスは、NVRとシーボードに次いで株価の高い銘柄であり、現在の株価は2,250ドル付近にあります。

NVRやシーボードと異なり、ブッキングは株式分割と逆の行為である株式併合を行ったことがあります。同社(当時はプライスラインという社名でした)は2003年6月に、6対1の株式併合を行うことで株価押し上げを図りました。

先日、eコマース企業のショッピファイ(SHOP)が株式分割を発表しましたが、ブッキングの株価はショッピファイをはるかに上回ります。ブッキングは株式分割の有力候補かもしれませんが、すぐに行われるとは期待できません。

とはいえ、ブッキングを取り巻く状況は、今後変わる可能性があります。新型コロナウイルスに対する不安が薄まるにつれ、旅行は世界的にこれまで以上に急回復するはずです。そうなれば、ブッキングの株価も上昇し、経営陣も株式分割について検討し始めるかもしれません。


免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾンの子会社であるホールフーズマーケットのCEO、John Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会のメンバーです。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会のメンバーです。元記事の筆者Keith Speightsはアルファベット(クラスA)、アマゾン、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット(クラスA)、アマゾン、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)、ブッキング・ホールディングス、ショッピファイを保有し、推奨しています。モトリーフールは、アルファベット(クラスC)およびNVRを推奨し、また以下のオプションを推奨しています。ショッピファイの2023年1月満期の1,140ドルコールのロング、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の200ドルコールのロング、ショッピファイの2023年1月満期の1,160ドルコールのショート、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の200ドルプットのショート、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の265ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。