新たな窓が発生、5日移動平均線を割り込んで大幅安へ
このコラムでは、窓についての解説に加え、グランビルの法則についても併せて紹介していますが、前回のコラムから1週間が過ぎ、株価水準が大きく変わる結果となっています。正にグランビルの法則通りと言って良いかもしれません。
前回のコラムでは下向きの25日移動平均線に接近したところまでで、その後は「5日移動平均線上を維持できるかがカギを握る」と解説しましたが、翌3月2日に窓をあけて反落して5日移動平均線を割り込むと、3月4日には2つ目の窓をあけると同時に5日移動平均線を割り込んで大幅安となりました。
さらに3月4日と7日の間にも3つ目の窓をあけており、この1週間で窓が3つ発生する結果となっています。
今回は下向きの25日移動平均線に接近して押し返されるパターンになった後、下方向に窓が発生したことから、下落が加速したと考えられます。3月1日の終値26,844円と3月8日の終値24,790円を比較すると、2,054円も株価が下落しております。
ここまで下落スピードが加速するとは考えられなかったかもしれませんが、この下落スピードの速さを説明するために重要なのが、窓の種類ではないかと私は考えています。
窓の種類が下落の加速を教えてくれる
今回3つ窓が発生していますが、1つ目と2つ目は直近の値幅の範囲内で発生していることから、コモンギャップと考えられますが、3つ目に発生した窓が下落を加速させたと私は考えています。では、3つ目の窓はどの種類の窓と考えられるのでしょうか。
私はブレイクアウェイギャップ(=突破する窓)だと考えています。なぜなら、1月27日に26,000円割れ寸前まで下落した後、2月24日の終値や3月4日の終値では、26,000円を少し割り込んだところで下げ止まっています。
この辺りが安値の目途と見られていたわけですが、この水準を一気に下回ったのが3つ目にあけた窓で、この窓の発生から一気に1,000円以上株価水準が切り下がる結果となっているのです。
このように、グランビルの法則と新たな窓の発生によって下放れが起こり、株価下落のスピードが加速し、2021年11月6日以来の25,000円割れになったと私は考えています。
下方乖離と今後予想される値動きとは?
では、今後の値動きについてはどうでしょうか。今回は特別にもう1枚チャートを用意しました。なぜなら、過去にさかのぼってみると、まだ埋まっていない窓があるからです。
前回指摘した、2020年11月20日と24日の間にあけた窓の水準を下回っているものの、同じ水準で株価が窓をあけたため、この窓は埋まっていません。
また、2020年11月6日と9日、同年11月2日と4日の間にそれぞれ窓があいています。そのため、今後も下向きの5日移動平均線を下回ったままの状態が続くようですと、これらの窓を埋める可能性が考えられます。
一方で、25日移動平均線との下方乖離が広がっています。この下方乖離の広がりは、グランビルの法則では、リバウンド狙いの買いサインとされています。
ただ、5日移動平均線を上回る場面があっても、これまでと同様、下向きの25日移動平均線に押し返されるようですと、再び下落が繰り返されることになるため、売り時を逃さないよう注意して売買を行わなければなりません。
「埋めない窓はない」といった相場の格言なども以前のコラムで紹介しましたが、結果だけ言われてもなかなか実感が湧かなかったり、テクニカル分析は結果論だということになったりしてしまいます。
しかし、このコラムで毎週継続して窓について見ているからこそ、1年以上前の窓を埋める可能性があることが分かると同時に、「埋めない窓はない」といった実感が湧くようになるのではないでしょうか。
今回、改めて窓についての勉強が如何に株価の値動きを考える上で重要かがお分かりいただけたのではないかと思われます。「たかが窓と言う勿れ」、窓は奥が深いです。