【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓

およそ1年1ヶ月を経過して窓埋めを達成

前回のコラムでは、下向きの5日移動平均線上を回復できるかどうかが、「2020年12月28日と29日にあけた窓と、同年12月23日と24日にあけた窓」を埋めるかどうかのカギを握ると解説しました。

そして、実際には下向きの5日移動平均線を下回ったままの状態が続き、株価は下落基調となりました。そのような中、1月27日の大幅下落でついに前述の2つの窓を埋め、「埋めない窓はない」といった相場の格言が約1年1ヶ月を経過して現実に起こったのです。

大発会で日経平均が4年ぶりに上昇して始まった2022年の東京市場ですが、当時は3万円台を回復してさらなる上昇が期待されていたわけですが、残念ながら2020年12月の株価水準まで戻ってしまっており、「トレンドをフォローすることが如何に重要か」がお分かりいただけたのではないかと思います。

また、窓についての知識が、今回の大幅安が発生する可能性を数週間前から予測することに役立ったと考えられ、ファンダメンタル分析で割安と判断される状況におけるテクニカル分析の有効性についても証明できたのではないかと思います。

そのような中、窓を埋めた後の株価は反発に向かっていますが、今後の展開について考えてみたいと思います。

反発が継続するための2つのポイント

日経平均はこれまで押し返されてきた5日移動平均線を上回って2月1日の取引を終えていますが、果たしてこのまま反発が続くと考えられるのでしょうか。

そこで重要なポイントが2つあると私は考えています。1つ目は5日移動平均線上を維持できるかです。2つ目は2021年8月20日の終値を上回ったまま維持できるかになります。

この2つがなぜ重要なのかについてですが、5日移動平均線については、これまでも解説してきた通り、上向きに変化してサポートになることが期待されるからです。

一方で、8月20日の終値に何か意味があるのでしょうか。窓とは別の判断材料となるものですが、私は投資家の損益状況が分かれる水準であると考えています。

なぜなら、株価は終値で評価されますが、8月20日の終値は、2021年の最安値であり、この価格を下回ると、2021年の1年間に日経平均を買ったすべての投資家は含み損を抱えることになると考えられるからです。

もちろん個別株についてはこの限りではありませんが、少なくとも日経平均型のETFを買ったすべての投資家がマイナスになる水準と言えるのではないでしょうか。

仮にそうなりますと、この8月20日の終値を上回ったまま維持できなくなると、上値の重たさを嫌気した投資家からの売りが出てくることが考えられ、場合によってはさらに下落することも視野に入るのではないかと思われます。

一方で、この水準を上回ったまま維持するようですと、戻りを期待した投資家の売りが減少すると同時に買いが増加して、株価の押し上げにつながることも期待できるのではないでしょうか。

テクニカル分析の中では、「過去の安値は今日の高値」や「過去の高値は今日の安値」といった例えがありますが、今回のように重要な安値を下回って戻せなくなったり、戻しても維持できなかったりするようですと、下降トレンドが続くということが考えられます。

そのため、5日移動平均線上と8月20日の終値を維持できずに売り圧力が強まったときのリバウンド狙いの買いは控える必要がありそうです。