>> >>成年年齢引き下げで若者の消費者トラブルが増える理由

前回記事に引き続き、懸念される18~19歳の消費者トラブルの具体的な事例を紹介します。

懸念される18~19歳の消費者トラブル

【事例Cさん】脱毛エステを中途解約したいけど…

Cさんは社会人になる前にムダ毛をなくしておきたいと、半年前に脱毛エステサロンに出向いた。10万円程度の予算を考えていたが、さまざまな割引きやポイントなどの特典を強調され、総額30万円の2年コースを申し込んだ。

支払いはクレジット会社で毎月5,000円の分割払いにした。はじめのうちは頻繁に通えたが、就職活動が忙しくなり、続けるのが難しくなった。解約したいと電話をしたら、お店に来てほしいと言われたが、出向いたら解約を思いとどまるよう説得されるのではないかと心配でいる。

トラブルにあわないためのポイント

エステの中途解約は法律で認められています。脱毛、美顔、痩身のエステサービスをサロンで受ける契約をして、サービスの提供期間が1ヶ月を超え、契約金額が5万円を超える場合は、法律にもとづいてクーリング・オフや中途解約ができます。

解約するときには、解約の意思をきちんと伝えることができれば、お店に出向く必要はありません。これまでに受けた施術代金と解約損料、クレジットのキャンセル手数料などを支払うことになりますが、解約損料は法律で上限額が決められています。サロンに精算書を出してもらいましょう。精算書の内容が良く分からない場合は、消費者ホットライン188に電話をして相談してください。

【事例Dさん】美容医療で即日施術をしたところ…

DさんはSNS上で美容医療クリニックの二重瞼手術の広告を見てカウンセリングの予約を取って出向いた。話だけ聞くつもりだったが、「術後すぐにお化粧も可能な簡単な手術なので、今日やりましょう」と言われて、断り切れずに承諾してしまった。代金5万円は、言われるままに最寄りのコンビニのATMでキャッシングをして支払った。手術を受けたが、事前の話と異なり、両目が腫れて痛みもある。クリニックに電話をしたが、「数日間はやむを得ない、我慢してほしい」と言われただけだった。

トラブルにあわないためのポイント

簡単な手術であっても医療にはリスクがあります。価格の安さやメリットだけを強調して、合併症や後遺症に関する説明をしないクリニックは避けましょう。話だけのつもりだったのに当日施術を勧められた場合ははっきり断りましょう。安易なキャッシングの利用もお勧めできません。また、医療サービスの広告は法律で厳しく規制され、ビフォー・アフターの写真掲載は原則として禁止されています。

【事例Eさん】怪しい副業・アルバイトに関わってしまい…

Eさんは「スマホのチャットで相談にのるだけ」というアルバイトを副業サイトで見つけて応募した。身分証明書を求められたので保険証と学生証の画像を送った。

アルバイトを実際に始めたところ、チャットの相手の男性から「こんなに楽しくやりとりができるなら、是非今後も継続してやりとりをしたい」という申し出を受けた。個人情報を交換して相談の報酬以外に指名料がわりにお金を贈りたいと言われ、副業サイト事務局に報告したところ、「固定客がつくのはサイトとしてもありがたいので問題ないが、個人情報交換についてはセキュリティと情報管理を強化した専用アカウントを用意するので手数料がかかる」と連絡がきた。

クレジットカードで1万円支払ったが、男性の個人情報は文字化けしていて読めなかった。事務局から文字化け解除費用3万円を請求されたのでカードで支払った。その後、IDの取得が必要、これで最後と言われて取得費用5万円を支払った。しかし手続きがうまくいかなかったとして、さらに7万円を請求された。ここまできて騙されたことに気がついた。

トラブルにあわないためのポイント

気軽な気持ちで副業サイトに登録したが、収入になるどころか被害を被ったというトラブルが後を絶ちません。「収入を得るために」との理由で支出を求められた時点でおかしいと気付き、連絡を絶つことが大切です。登録時に保険証と学生証の画像を提供しており、悪用される可能性も否定できません。警察に相談すると共に信用情報機関(*1)にも不正利用の恐れがある旨の本人申告をしておきましょう。

「荷受け代行」(自宅宛に送られてくる荷物を受け取って、指定された住所に転送すれば個数に応じた報酬を支払うアルバイト)による被害も発生しています。

事前に本人確認のためと称して身分証明書の画像の送付を求められます。送られてくる荷物は、本人名義で購入された携帯電話等で後日、電話会社から高額な請求を受けてだまされたことに気付きます。自分名義で購入した携帯電話を他人に譲渡することは法律で禁止されています。この携帯電話が振り込め詐欺などの犯罪に使用されるおそれもあります。絶対に手を染めないようにしましょう。

知っておきたい消費者を守る法律

消費者トラブルを解決する際の強力な武器になる法律を2つご紹介します。特定商取引に関する法律(以下、特定商取引法)と消費者契約法です。

特定商取引法は、特にトラブルになりやすい7つの特定の取引形態を対象に、事業者の義務や禁止行為を定める一方、クーリング・オフ制度や契約の取り消しができる場合を規定しています。消費者契約法は、取引形態を問わず消費者と事業者間のすべての契約を対象に、契約を取り消すことができる場合と契約条項が無効になる場合を定める一方、消費者団体に事業者の不当な勧誘等の差止請求権を与える適格消費者団体制度を規定しています。

どちらも消費者被害の実態を踏まえて機動的に改正を繰り返しています。成年年齢引き下げに対応した改正消費者契約法が2019年(令和元年)6月に施行されました。また、詐欺的な定期購入への規制強化などを盛り込んだ改正特定商取引法が2022年(令和4年)6月に施行されます。

この2つの法律はいずれも消費者庁が所管しています。興味がある方は消費者庁のサイト(*2)をご覧下さい。困ったときにはひとりで悩まずに、1日も早く「消費者ホットライン188」に電話をしてください。消費生活相談員があなたのトラブル解決のお手伝いをします。

【マネクリ編集部より】

当ウェブサイトを運営しているマネックス証券では、成年年齢引き下げにより未成年による証券総合口座の開設が、これまで親権者の同意が必要であった年齢が20歳未満から18歳未満に変わります。

当社は資産形成を早く始めることをご提案する立場ではありますが、敢えて成年年齢引き下げにより考えられる新成人が遭遇する確率が高いトラブルをご紹介しました。

今回、公益社団法人 全国消費生活相談員協会様より記事提供をいただいております。大人になるにあたっての注意喚起として成人となる18歳、19歳の方、またその親御様に一読いただけますと幸甚です。

(*1)国内の主な信用情報機関

・(株)シー・アイ・シー(CIC)

・(株)日本信用情報機構(JICC)

・ 全国銀行個人信用情報センター

(*2)消費者庁のサイト

・特定商取引法:https://www.no-trouble.caa.go.jp/(特定商取引法ガイド)

・消費者契約法:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/